今更聞けない長崎新幹線事情と長崎をけなす毎日新聞

今長崎の鉄道で大工事が進んでいる。諫早駅は新幹線が停まるので駅をリニューアル中である。

さてそんな新幹線だが、現在若干トラブっている。その理由を書きたい。

 

そもそも、長崎新幹線というのはあだ名みたいなもので、正式には九州新幹線の西九州ルートという。

これは、国が考えた「整備新幹線」の事業の中の一つで、日本中に新幹線を走らせようとするものだ。

昭和48年11月13日に整備計画を決定した5路線
北海道新幹線 (青森市から札幌市まで)
東北新幹線 (盛岡市から青森市まで)
北陸新幹線
九州新幹線 (鹿児島ルート)
九州新幹線 (長崎ルート)

これは、悪いことではなく地方の交通僻地に人の流れを作ろうとする、いい事業だ。

ところが、この計画には大きな問題が存在する。

在来線の問題である。

新幹線の線路は広いし材質が違うので、今までの在来線の線路の上を走らせられない。

新幹線のレール幅 → 1435 mm
在来線のレール幅 → 1067 mm

単純にいうと、一番いいのは新幹線用のレールを新たに作るのがベストだ。

しかし、今までの線路も活用されているし、今までの線路の横に新幹線の線路を新設するには、土地もいるし工事も大変である。また鉄道経営も複雑になってくる。

まずこの問題が長崎でも起こったのだ。

色々あったが、政府には秘策があった。

それが「FGT フリーゲージトレイン」である。

 

FGT フリーゲージトレイン

フリーゲージトレイン

「FGT」とは軌間の異なる在来線と新幹線を直通できる軌間可変電車の事である。

素晴らしい。それが出来れば問題なかったのだが、フリーゲージトレインの開発が難航したのだ。

そして、2022年の開通予定に間に合わなくなったので、2022年の暫定開業時点では武雄温泉駅で在来線と新幹線の対面乗り換え方式がとられる予定となった。

つまり、福岡から佐賀の武雄温泉駅まで今までの汽車、そして武雄温泉駅から長崎まで新幹線となったのである。

FGT(フリーゲージトレイン)が出来れば、乗り換えなくて良かったのだが、出来ないので駅で乗り換えることになったというわけである。

ここまでが今の流れである。

FGT(フリーゲージトレイン)を作るのが何故困難か

営業車両に近い条件の4両編成となった第3次試験車両(撮影:久保田敦)

FGTは日本が独自に考えた方式ではなく、ヨーロッパには存在する。

スイスの私鉄やスペインのタルゴ社によって実用化されている技術である。

FGTは軌間可変装置付きの車両という。

日本でもその開発は進められてきた。しかし日本でこの列車を作ることが難しく、開発も難航している。

その理由は、軌間可変装置付きの車両の維持費が高額になってしまうからだ。

欧州で問題なく実用化されている理由の一つとして、そのほとんどが動力装置を持たない客車である点が挙げられる。
日本のFGTは、各台車にモーターなどの駆動装置を搭載する電車方式の車両のため、モーターやギアなどを可変装置の中に組み込まなければならず、台車そのものが複雑な構造となる。

東洋経済オンライン 2018年04月07日
https://toyokeizai.net/articles/-/215507

FGT(フリーゲージトレイン)の開発が待たれるのだが、なんとJR九州がフリーゲージトレインの導入を断念し、全線フル規格での建設を求める方針を示した。

さてここからが問題なのだ。

費用の問題

長崎新幹線をひくのはいいのだが、当然佐賀県も関わってくる。

まずお金の問題だ。

長崎新幹線をひくことで利便性が多く上がるのは長崎である。

だから長崎は、フル規格で福岡から長崎まで新幹線が直通できてほしい。

そして佐賀だが、佐賀県が新幹線をひくことでかかる費用を独自で計算した結果、約2400億円かかると出た。

長崎の費用は約1000億円である。そして長崎が恩恵を多く被る。

要するにお金の問題でもめているのだ。

また、この新幹線をどんな形態で経営するかというのも揉めているのだ。

しかし、話し合いで計画は少しづつ進んでいく。

新幹線計画の経費60億円を、長崎県が40億円、佐賀県が20億円負担することで2008年(平成20年)4月25日に合意した。

そして、在来線活用計画に関してはフリーゲージトレインではなくフル規格新幹線、ミニ新幹線といった案も出ている。

そんな状況である。

最近の状況は

長崎ルート 佐賀県に協力要請 フル規格整備で 県議会特別委 /長崎
毎日新聞2018年7月14日

とある。

佐賀県の山口祥義知事が与党検討委で『フル規格は受け入れられない』と申し上げている。と長崎県の要望をはねつけた。

そして

長崎側もフル規格の場合は「建設費の負担割合は佐賀県がより多くかかることは分かっている」とし、負担軽減に関して「一緒になって国にお願いしたい」と述べた。

しかし

佐賀県は全線フル規格化とミニ新幹線が議論されていることに対し、「県はこの二つから選択しなくてはいけない立場ではない」と不快感を示した。想定されていたフリーゲージトレイン(FGT)の導入断念には「国やJRが約束したことを守らない」と批判した。

結局、佐賀県の在来線を将来どうするか決着はついていない。

そして九州新幹線長崎ルートは2022年度、武雄温泉駅で新幹線と在来線特急を同一ホームで対面で乗り換える「リレー方式」で暫定開業する事になった。

お分かりだろうか。

問題はフリーゲージトレイン(FGT)が難しくなったことから起きた騒動だ。

もし、いろんな難関を経て、日本がフリーゲージトレイン(FGT)を完成させれば、長崎だけではなく、日本全国恩恵をこうむる。

だから、日本の技術者に期待したいのだ。

毎日新聞のツイッターに怒っている

しかし、マスコミはその事を冷ややかに見ているようだ。

これは最近のツイッターでの書き込みである。

毎日新聞長崎支局のツイッター

いかにも長崎県が馬鹿者のように印象付けられている雑文である。

個人が書いたのなら文句も言わないが、毎日新聞長崎支局の公式アカウントからの書き込みなのだ。

明らかに長崎を嘲笑っている。

いいかげんにしろよ、毎日新聞。

色んな事情があることくらい、わかるだろう。

おじさんは怒ってるんだ。

長崎新幹線の開業にむけて変わりゆく長崎駅とその周辺  JR九州 2017年3月28日

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