不動明王のチベットと日本 シンクロする遺伝子

遺伝子の研究が進んできて、様々な角度から分析が可能になっている。

話題になったのは、ハプログループD(人類のY染色体のハプログループ(型集団)の分類)である。

父系で遺伝する 「Y染色体」、母系の「ミトコンドリア」くらいしか知識のない私だが、ハプログループDの研究結果は少し驚いた。

地球上でハプログループDが人口比対して高頻度で見つかるのは、
チベット、アンダマン諸島、日本しかないという。

もっと詳しく調べると

チベット、D系統49%(D1が16%、D3が33%)

アンダマン諸島 D系統は56%

日本(本土) D2・・40.6%
沖縄本島・・56%

である。

しかしD系統だけで、同じ祖先と判断するのは早計で、DやD1とかD2などは、枝分かれしたのに数万年という時間がかかっているという。

一般ではハプログループは言語の系統研究に利用されているらしいが、遺伝子によって人類の大きな流れは把握できるというのが素晴らしい。

チベットと日本

アンダマン諸島は、インド東部のベンガル湾に浮かぶ、インドに属する島々だ。

チベットへついたDグループは、中国を通らず一部インドのアンダマン諸島に行き、そして日本にたどり着いたのだ。

日本に定住したDグループは、その後朝鮮半島まで進出したとされている。

Dから日本人のD2にグループが分かれるのに2万7000年かかったという。

D2グループは縄文人として日本に定住をしたのだが、同じDグループのチベット定住族とは、遠い親戚である。

それを思えば、チベットに急に親近感が沸いてくる。

 

まず顔が似ている

チベット人の写真をみれば、確かに顔が日本人にている。

そして洋服も着物風で親近感がある。

チベットNOW@ルンタ

ダラムサラ通信 by中原一博(www.lung-ta.org)

http://blog.livedoor.jp/rftibet/archives/51785243.html

 

顔以外にもチベットと日本が似ている点

数字の発音が非常に似ています。いち、にー、さん、しー、ごがチベット語だとちー、にー、すん、しい、んがとなります。

文法的にも日本語に似ています。基本的には主語 目的語 述語の順番です。さらには日本語と同じように尊敬語や謙譲語などがあり少々複雑であるという点も類似点でしょう。

チベットのうどん、チベット風お赤飯
(抜粋)

チベットの魅力といいところをチベット人と結婚した私が教えます 
http://www.business-i.net/post/0037.html

それ以外にも

チベット人は縁起かつぎ
「いやぁこれは縁起がいい(テンデー・ヤクポヨワレ)」

実際にチベット人社会で生活してみるとこの種の縁起かつぎは数え切れない位存在する。

奇妙な所で日本人とチベット人は似ているが、遠慮バトルもそのひとつ。
チベット人社会でお茶を勧められたり遠慮したりは一種の避けられない儀式である。「お茶でもどうぞ(ソチャ・チュタン)」と言われてすぐに飲んでは失格で、「いえ結構です(ラーメー)」と先ず遠慮する必要がある。
注ぐ方も「そう仰らずに」としつこく勧める。これが半永久的に続けられるのである。

チベット人は縁起かつぎ
http://www.bukkyo-u.ac.jp/mmc01/onoda/works/essay_j4.html

ネットを探すといろいろ似ているところがあるのを再発見する。

しかし、同じDグループなのに、チベットと日本はまったく別の運命をたどっている。

住む地域も違えば、文化も違う。

現在、中華人民共和国によるチベット支配は心を痛める。

日本にとってたどり着いた先が島国だったというのは、まさに天運だったのだろう。

もし、アジア大陸のどこかだったら、同じ運命をたどったかもしれない。

民族の運命は、地形に大きく左右されているのを改めて実感する。

ダライ・ラマ14世

遠い親戚であるチベット民族と日本民族は、その心情において共通点がある。

同じアジア人でありながら、お隣の韓国と中国には、なぜか親近感を覚えにくいのは、やはり遺伝子が違うからだと感じる。

鳥の信仰

日本には鳥の信仰がある。

別に日本だけではなく、世界中にあるのは承知している。

 

日本神話には神武天皇の八咫烏がある。

八咫烏

 

太陽の化身として、神武東征の手助けをする神の鳥である。

熊野三山においてカラスはミサキ神(死霊が鎮められたもの。神使)とされており、八咫烏は熊野大神(素盞鳴尊)に仕える存在として信仰されている。

 

さらに、鳥居というものがある。

からす岩神社

鳥居は稲作地帯の信仰でもある。

韓国のソッテというものもあるが、韓国は稲作がメインではなく日韓併合もあったので、日本の影響とおもわれる。

東南アジアや南部中国、台湾にも鳥信仰はあるが、穀物を守る善良な神の化身として語られているように思える。

 

チベットには鳥葬というのが在る。

宗教上は、魂の抜け出た遺体を「天へと送り届ける」ための方法として行われており、鳥に食べさせるのはその手段に過ぎないという。

チベットの鳥葬

日本の鳥居は、神社の前に立っている。

人間と神との結界の門である事は間違いない。

日本でも鳥が神の使いである事は違いないと思うが、いまいち鳥居の存在理由が明白ではなかった。

ところがチベットの鳥葬の話から、一つの仮説が思い浮かんだ。

人間は生身である。その人間が神の世界(神社)に行くには、肉体は邪魔である。

つまり、鳥居は鳥葬の為の、人間の死肉を食べる鳥の止まり木を象徴したものではないかと思う。

 

日本でも鳥葬はあったと記録されている。

鳥辺山 http://sizenno.kyo-chan.net/?eid=1106324

平安時代の平安京(京都)には「京都七墓」と呼ばれる広大な埋葬地があり(江戸遺跡研究会編「墓と埋葬と江戸時代」参照)、その中に「鳥野辺」と呼ばれた場所があって、土葬や火葬などさまざまな埋葬が、行われていたが打ち捨てられた遺体もあったそうだ。「鳥」の字がつけられた地はかつて埋葬の地であったという話を耳にしたことがあるし、鳥が丘には戸塚斎場がある。
鳥葬とは?
http://hamarepo.com/story.php?story_id=1826

チベットはチベット仏教である。

インドから伝わってきた日本の密教とチベット仏教の親和性は高い。

遺伝子レベルで同じ心情と発想が在ったのではないかと感じるのだ。

ヒマラヤとチベット

ヒマラヤは地球上で最も標高の高い山である。

インド亜大陸とチベット高原を隔てている無数の山脈から構成される巨大な山脈である。

ヒマラヤ山脈

ヒマラヤは巨大な山の為、チベット・ネパール・ラダック(インド)の国々に信仰がある。

当たり前だと思われそうだが、山岳信仰はアジアに偏った信仰でもある。

日本は、言うまでもなく山岳信仰は盛んである。

特に富士山信仰は日本人に染み付いている。

富士山信仰

これもまた、遺伝子のシンクロのような気がする。

 

 

ここまでいろいろ書いたが、人類の遺伝子のシンクロという考え方は当然ある。

例えば親子間や兄妹、双子など同じ遺伝子を持っているので、趣味や性格など似通ってくるのは当たり前である。

しかし、3万年前に分かれたグループ同士に民族間の類似性が見られるかというと、科学的に証明されていない。

しかし、ハプログループが持っている共通の遺伝子が存在するから、グループ分けが出来るのだ。

私が今回考えるのは、精神分析医のユングの学説である集合的無意識の存在である。

生物の進化の中で、一つの集団は集団の意識と個の意識をシンクロさせながら生き延びてきた。

例えば、突然変異で生まれた生き物は、1個では存続できない。

同時に存続可能な数が必要なのだ。

つまり、生物は何かしらの方法でつながっているのは事実だ。

人類も同じ生物である。精神的な部分でつながっているはずである。

鳥が方向転換する時にいっせいに方向を変えたり、いわしの群れが見事な連係プレイで大群化するのも、それと同じ原理のはずである。

量子力学という学問

最近、量子力学とテレパシーの関係がよく書かれている。

「量子もつれ=エンタングルメント」である。

量子もつれ

http://ameblo.jp/ylrich-manifestation/entry-12241856929.html

 

これが遺伝子のシンクロの原因かも知れないと最近思うようになった。

現在はそれ以上追及できない。まだまだ未知の世界だからだ。

 

不動明王

もう一つ日本とチベットを結ぶものがある。

それは不動明王である。

不動明王(国宝醍醐寺蔵)

日本には不動明王信仰が多い。

古跡にいけば行くほど、仁王の石仏がある。

不動明王は、空海が中国から持ち帰った経典により信仰が始まったとされている。

不動明王の起源はインドのヒンドゥー教だといわれ、密教の根本尊である大日如来の化身である。

インドで起こり、中国を経て日本に伝わった不動明王であるが、インドや中国には、その造像の遺例は非常に少ない。ウィキペディア

アジアで不動明王信仰は日本だけのようである。

 

ところがチベットも不動明王信仰が盛んなのである。

チベットの不動明王

北伝仏教の系譜を汲む日本の仏教は、チベット仏教と直接の繋がりは無いのにもかかわらず、

ハプログループDの人が多く住む地で、共に信仰があるというのはとても不思議に感じるのだ。

日本人もチベット人も比較的穏やかな国民性である。

しかし、あの鬼のような憤怒の形相の不動明王を信仰するのも、心の中の志向が同じだからだと思う。

 

日本人の起源について、かなり明確な答えが出せるようになった今、遺伝子でも細かくわかるようになった。

D2以外では、O2b1・・25%、O3・・16%となっている。

O2b1はベトナムか東南アジアにも多いとされているが、O2b1はほぼ日本独自のタイプ。日本と日本の移民先でしか見られない。

O3は一言でいえば「漢民族(中国人)」の遺伝子。

Y染色体ハプロタイプの割合
http://nihonsinwa.com/page/654.html

よく話題になる韓国はO3が45%、O2b1が12%である。

あの半島は、中国人と日本人の影響下で民族が構成されているといえる。

 

この話には特別な結論はない。

血は水よりも濃しなのか、遠い親戚より近くの他人なのか、結論など出るわけがない。

ただ、遺伝子のシンクロは、善悪の基準、好み、愛着するものの志向性が同じだと思う。

逆に、その血が違えば、好みも違うし気質も違うのがわかる。

近隣と仲良くするのは大切だが、元々違う気質を持っているのだから、距離感を持って付き合ったほうが懸命だといえる。

君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。論語

 

この事を日本人は、念頭においていたほうが良いだろう。

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