ガラスの反射をなくして撮影する方法
写真倶楽部での質問
Q. 壁に掛かっている額の絵をきれいに撮りたいのですが、ガラスにいろいろなものが映り込んでしまいます。どうすればいいでしょうか。
実は、この質問は意外と難しいものです。
スマホで撮る場合は、まず撮影する角度を少し変えてみるのが基本です。それだけで映り込みが減ることも少なくありません。
ただし、自分自身がガラスに映り込んでしまう場合は、黒い布や黒い上着などでカメラの周囲を覆うと効果があります。
また、カメラ側が明るいと映り込みが強くなるため、室内であれば照明を消したり、カーテンを閉めたりして周囲を暗くするのも有効です。
プロはどう撮影するのか
プロの撮影では、光沢のある素材や金属製品など、反射しやすい被写体を「光り物」と呼びます。
小さな商品であれば、黒い紙や黒いボードで不要な映り込みを隠したり、トレーシングペーパーを使って光を柔らかくしたりして撮影します。
屋外ではさらに大変です。例えば、鏡のように光るドアノブにカメラマンが映り込んでしまう場合は、一時的に艶消しスプレーを吹き付けて反射を抑えることもあります(撮影後には元の状態に戻します)。
スタジオ撮影では、「反射を完全に消す」のではなく、「美しい反射に置き換える」という考え方が基本です。

主な方法は次の3つです。
PLフィルターでガラスなどの表面反射を抑える。
黒カポック(黒い遮光板)で不要な映り込みを防ぐ。
大型ディフューザーを使って、ライトの映り込みを美しいライン状のハイライトに変える。
この3つを組み合わせるのが、スタジオ撮影におけるプロの標準的な方法です。
もっとも、ここまでの技術は一般の写真愛好家にはあまり参考にならないかもしれません。
おすすめはPLフィルター

Effect of a polarizing filter shown on the photo of the sky. The picture of the clouds is higher contrast through the filter.
一般の方に最もおすすめなのは、PLフィルター(偏光フィルター)です。
PLフィルター(Polarized Light Filter)は、ガラスや水面などの表面反射やギラつきを抑えるためのレンズフィルターです。
例えるなら、「カメラに掛ける偏光サングラス」のようなものです。レンズの先端に取り付け、枠を回転させることで反射の強さを調整できます。
現在のデジタルカメラでは、オートフォーカスや測光への影響が少ないC-PL(円偏光)フィルターが一般的です。
ただし、万能ではありません。
金属の反射にはほとんど効果がありません。鏡やステンレス、金銀などの金属面には効きにくく、ガラス・水・木・樹脂・葉などの非金属の反射に効果があります。
金属には自由電子がたくさんあり、光が当たるとその自由電子が振動して光を反射します。そのため、反射光はさまざまな方向の偏光が混ざった状態になり、PLフィルターで特定の偏光だけを取り除いても、反射はほとんど減りません。つまり金属の反射=偏光していない(または偏光が非常に弱い) → PLフィルターがほとんど効かないのです。
光量が減ります。通常は1〜2段分ほど暗くなるため、室内では手ブレに注意が必要です。
真正面からの撮影では効果が弱くなります。反射面に対して30〜40度程度の角度から撮影したときに最も効果を発揮します。
スマホでも、クリップ式アダプターを使えばPLフィルターを取り付けることができます。価格はAmazonなどで1,000〜3,000円程度です。
最近は画像処理という方法も
もちろん、PLフィルターにも限界があります。
最近では、画像編集ソフトやAIによる画像処理で映り込みを除去する方法も手軽になってきました。撮影時に完全に防げなくても、後から修正できる場合が増えています。
プロの世界では、「光り物をきれいに撮れるカメラマンは腕がいい」とよく言われます。
それほど反射のコントロールは難しく、経験と技術が求められる分野なのです。

