五島市向町 白濱神社

五島市下崎山町地区 白濱神社
〒853-0022
長崎県五島市向町2430
五島市下崎山町地区

フェリー乗り場 五島到着
2017年1月15日、私は長崎からフェリーで五島市・福江島へ渡った。
この日の目的の一つが、五島の奇祭として知られる「ヘトマト」を見ることであった。
昼の1時ごろ、白濱神社では宮相撲が始まった。

五島市下崎山町地区

へトマト-宮相撲
境内の土俵では子供たちの相撲が行われていた。子供たちが懸命に取り組む姿は、見ているだけでも楽しい。
土俵の周囲には、おそらく親御さんたちだろう。ビデオカメラやスマートフォンを手に、盛んに撮影していた。
ヘトマトは「白濱神社から始まる」と紹介されることが多い。
しかし、実際に現地で見ていると、この神社で行われるのは主として宮相撲であり、午後2時ごろになると、人々は次第に下崎山町の集落へと移動していった。
そこから羽根つき、玉蹴り、綱引きなど、ヘトマト独特の行事が続いていく。

五島市下崎山町地区
ヘトマトの起点となる神社

へトマト
白濱神社は、毎年1月に下崎山地区で行われる「下崎山のヘトマト行事」と深く関わる神社である。
この行事は国の重要無形民俗文化財に指定されており、白濱神社境内での奉納宮相撲から始まり、その後、羽根つき、玉蹴り、綱引き、大草履の奉納などへと続いていく。
平成8年(1996)1月には、ヘトマト行事が国の重要無形民俗文化財に指定された。
その後、
平成27年(2015)2月 白濱神社鳥居再建
平成28年(2016)1月15日 由緒碑建立
と、境内の整備が行われている。
国の重要無形民俗文化財に指定された後、神社やその周辺にもさまざまな整備が加えられたものと思われる。
現在の神社は比較的新しく見える。
拝殿内もきれいに整えられていたが、私が訪れた時には特に祭具などは見当たらず、普段はそれほど頻繁に使用されていないようにも感じられた。
ただし、これはあくまで訪問時の印象である。
白濱神社の由緒

白濱神社の由緒
境内には神社の由緒を記した石碑が建てられている。
そこには、次のような内容が刻まれていた。
白濱神社
御祭神 田心姫神 湍津姫神 市杵嶋姫命
例祭日 九月十四日
碑文によれば、藩主である宇久氏が応永二十九年(1422)ごろ崎山に居住していた時代、崎山の住民・信助という人物が、白濱の海岸に潮によって打ち寄せられた神体を発見したという。
信助はその神体を拾い上げ、領主家へ持参した。
領主は、その神体が宇久氏の八幡神と同体であるとして「若宮」と称し、祀ったのが白濱神社の始まりと伝えられている。
1422年という年代
応永二十九年、すなわち1422年は室町時代前半である。
応仁の乱が始まる1467年より45年も前で、鉄砲伝来やキリスト教伝来よりも一世紀以上昔のことになる。
碑文の伝承をそのまま受け取るならば、白濱神社の起源はかなり古い。
さらに碑には、
應永三十四年(1427)
白濱の上に信仰の地を選び、社殿を建立
という趣旨の記述もある。
つまり1422年に神体が発見され、その数年後の1427年には社殿が建てられたという伝承になる。
最初は八幡神だったのか
現在の御祭神は、田心姫神 湍津姫神 市杵嶋姫命の三柱である。
いわゆる宗像三女神である。
しかし由緒碑では、最初に祀られた神体について「宇久氏の八幡神と同体」と記されている。
つまり、伝承上の創始時には八幡神との関係が語られている一方、現在の祭神は宗像三女神である。
では、いつ、どのような経緯で現在の祭神になったのだろうか。
残念ながら、碑文だけではその経緯までは分からない。
1427年の社殿建立時に祭神が変更された可能性も考えられるが、碑文にはそれを裏付ける明確な記述はなく、断定はできない。

白濱神社

白濱神社

白濱神社

白濱神社

白濱神社

白濱神社
白濱神社とヘトマトの関係
さらに気になるのが、白濱神社とヘトマトとの関係である。
現在、ヘトマト行事は白濱神社の宮相撲から始まる。
しかし、そもそもヘトマトがいつ、何のために始まったのかについては諸説があり、はっきりしていない。
豊作祈願、漁業の安全、子孫繁栄など、さまざまな意味が重なった祭りともいわれる。
白濱神社がヘトマト成立当初から中心的な役割を果たしていたのか、それとも後の時代になって現在の形になったのか。
この点についても、確かなことは分からない。
つまり、神社には600年近い歴史を思わせる由緒があり、その神社を起点として、由来不詳ともいわれるヘトマトという奇祭が行われている。
しかし、その二つがいつ、どのように結びついたのかは、今なお謎として残っているのである。
私は以前、ヘトマトについて独自に調べたことがある。
詳しくは「時間探偵」のヘトマト関連記事にまとめているので、興味のある方はご覧いただきたい。

