世界の謎。多頭の蛇たち

神話は不思議である。

様々な比喩や真実が隠れていると思う。

その中でも八岐大蛇(やまたのおろち)はキングギドラのように忘れられない。

キングギドラ

その話を書く。

日本の竜伝説

八岐大蛇は日本神話最大の怪物である。

8つの頭と8本の尾を持った巨大な怪物と描かれている。

ヤマタノオロチ(八岐大蛇、八俣遠呂智、八俣遠呂知)は日本神話に登場する伝説の生物。八岐大蛇は『日本書紀』での表記。『古事記』では八俣遠呂智と表記している。(略)本来は山神または水神であり、八岐大蛇を祀る民間信仰もある。

『日本略史 素戔嗚尊』に描かれたヤマタノオロチ(月岡芳年・画)

『日本略史 素戔嗚尊』に描かれたヤマタノオロチ(月岡芳年・画)

よく言われている説に、ヤマタノオロチは「洪水」の事で、奇稲田姫は「稲作」の事だという。つまり氾濫を起こす川の治水を行ったとするというものだ。

他には、製鉄の際、吹きこぼれている溶けた鉄がヤマタノオロチで、タタラ製鉄をする出雲の人々を制圧したという説がある。尻尾からでてきた草薙の剣が、ヤマト勝利の象徴という。

どちらとも信憑性がある説である。

じつは多頭の龍は八岐大蛇だけではない。

日本各地に九頭龍(大神)に関する伝承、伝説がある。

戸隠(長野県)の九頭龍伝承
西暦800年代の中盤頃の話として、「学門」という名の修行者の法華経の功徳によって、九つの頭と龍の尾を持つ鬼がこの地で岩戸に閉じこめられ、善神に転じて水神として人々を助けたという言い伝えが残されている(調伏善龍化伝承)。

箱根神社・九頭龍神社にて

箱根神社・九頭龍神社にて

写真吉祥寺ホメオパシー日和 http://philiaito.jugem.jp/?eid=141

白山信仰
平泉寺の白山権現が衆徒の前に姿を現して、尊像を川に浮かべた。すると九つの頭を持った竜が現れ、尊像を頂くようにして川を流れ下り、黒竜大明神の対岸に泳ぎ着いたという。以来、この川を「九頭竜川」と呼ぶようになった。

黒龍大神信仰
黒龍神社も兵火にかかり燃える。このとき神霊は、白龍となって山上に飛び、木の上にとまった。そこで、このあたりを竜ヶ岡(たつがおか)と呼ぶようになった「太平記」

鹿野山の九頭龍伝承
千葉の鹿野山麓の鬼泪山(きなだやま)には、九頭龍という九つの頭を持つ巨大な大蛇が棲みつき、村人を襲い人々を喰らったという伝承がある。

箱根の九頭龍伝承
箱根神社を開いた万巻上人が、芦ノ湖の龍が暴れているのを調伏し、守護神として祀ったとされる九頭龍神社がある。

平城京の九頭龍伝説
奈良の南山に住む九頭一尾の大蛇に疫病(天然痘)の原因となる鬼を食べて退治してもらい、都での流行阻止を祈願したとされる文が書かれている。

これ以外にもたくさんある。

八岐大蛇と九頭竜は、頭の数が違うだけではなく、その伝説の背景も異なる。

九頭竜は仏教の神様で、日本に伝わると仏教と神道を守る神となっているので、各地に伝説が残っていると言われている。

九頭竜は悪者でもあり、神でもある。

という事は、やはり自然災害の象徴と見た方がいいようである。

世界の蛇伝説

蛇をモチーフにした怪物は世界中にある。

ケツァールコアトル
アステカ神話の文化神・農耕神である。また、風の神とも考えられた。ケツアルカトル、ケツァールコアトルとも呼ばれる。マヤ文明ではククルカンという名で崇拝されていた。

ケツァルコアトル

ケツァルコアトル

ナーガは、インド神話に起源を持つ、蛇の精霊あるいは蛇神のことである。
インドや南伝仏教圏においては純粋に蛇として描かれる。
東南アジアのインド文化圏では、頭が七つある姿が多い。
元来コブラを神格化した蛇神であったはずだが、コブラの存在しない中国においては漢訳経典において「竜」と翻訳され、中国に元来からあった龍信仰と習合し、日本にもその形式で伝わっている。

ナーガ

ナーガ

ヒュドラー
ギリシア神話に登場する怪物である。草食恐竜のような巨大な胴体と9つ(5から100までの異説がある)の首を持ち、一本の首を切り落としても、すぐにそこから新しい2本の首が生えてくる。絵画などでは前足と後ろ足、翼を持った姿で表される事も。

ヒュドラー

ヒュドラー

メドゥサ
宝石のように輝く目を持ち、見たものを石に変える能力を持つ。かつては見た者を恐怖で石のように硬直させてしまうとされていたが、途中から現在知られている形に解釈される。頭髪は無数の毒蛇で、イノシシの歯、青銅の手、黄金の翼を持っている。

メドゥサ

メドゥサ

エデンの園の蛇
蛇が女に近付き、善悪の知識の木の実を食べるよう唆す。女はその実を食べた後、アダムにもそれを勧めた。実を食べた2人は目が開けて自分達が裸であることに気付き、それを恥じてイチジクの葉で腰を覆ったという。

エデンの園の蛇

エデンの園の蛇

東洋で龍といえば中国だ。

龍、特にそれぞれの足に5つの爪がある龍は、中国の多くの王朝において皇帝の象徴だった。

中国の龍

日本にも中国の龍のイメージは入ってきたが、日本の天皇家は龍を象徴とはしていない。

これは日本の独自性の表れで、中国の影響を受けているが、模倣はしていない証拠でもある。

世界に龍伝説が存在する理由

各時代、世界各地に蛇の怪物が存在する。

なぜだろうか。

一番単純でわかりやすいのが蛇人説である。

蛇の姿をした宇宙人が、人間社会に登場したというヤツである。

一番安易であるのだが、爬虫類型異星人がやって来たというモチーフは、映画や小説で現在も盛んに取り上げられている。

スーパー!ドラマTV 海外ドラマ:V

この場合は蛇とは限らないが、爬虫類をベースにした生き物がほとんどである。

ばかばかしいと、思う方は沢山いるだろう。しかし、否定する証拠はないのだ。

過去読んだ記事の中で、人類が蛇を恐れる理由は、人類がまだ小動物だった時期に、蛇に襲われ続けた恐怖が遺伝子に組み込まれたからだという。

アゴを外して巨大な卵を丸呑みにするヘビ

確かにそうかも知れない。

無意識に刷り込まれた恐怖という説明は現在も生き続けている。

心理学の分野では、人類共通の恐怖を説明している人がいる。

カール・グスタフ・ユングという心理学者で、個人を超え人類に共通しているとされる集合的無意識(普遍的無意識)の分析というのもある。

カール・グスタフ・ユング

カール・グスタフ・ユング

ユングの患者であった精神疾患者らの語るイメージに不思議と共通点があること、またそれらは、世界各地の神話・伝承とも一致する点が多いことを見出したユングは、人間の無意識の奧底には人類共通の素地(集合的無意識)が存在すると考え、この共通するイメージを想起させる力動を「元型」と名付けた。また、晩年、物理学者のウォルフガング・パウリとともに共時性(シンクロニシティー=意味のある偶然の一致)に関する共著を発表した。

今私たちは、色んな謎を自分たちが知っている知識の中で、理解しようとしている。

しかし、最近の研究やニュースを読むと、もっと違ったアプローチが大切だという事を感じている。

「脳組織は切断されても情報伝達できる」:ニューロンの新しい情報伝達方法発見|ニューズウィーク日本版 https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/02/post-11774.php?t=1

米ケース・ウェスタン・リザーブ大学ドミニク・デュラン博士の研究チームは、断頭したマウスから海馬を取り出し、スライス状にして脳波を観察した。その結果、ゆっくりとした周期的活動が確認され、これによって電場を生成して周囲の細胞を活性化させ、シナプス伝達やギャップ結合によらずに情報を伝達しることがわかった。

この記事などは、テレパシーの存在を肯定しているような感じである。

以前は夢物語だったテレパシーだが、量子力学の分野では存在を否定出来ないという。

量子力学の中に「量子もつれ」という現象がある。

遠く離れた2つの粒子に関して、一方の粒子についての観測が、もう一方の粒子の観測結果に影響を与えることがある。

遠く離れた2つの量子は距離に関係なく、関係を持つことが出来るという現象だと理解している。

この作用により、量子テレポーテーションが実現されている。

じつはこの現象は二十世紀前半から知られており,アインシュタインは「奇妙な遠隔作用」と表現している。

なぜならアインシュタインが唱えた光速の不変性をも覆す現象なのだ。

まるでSFの世界なのだが、私たち日常のミクロの世界の現実である。

とすれば、ユングのいう集合的無意識は存在するのかも知れない。

蛇が人類の共通の恐怖の潜在意識として、植え付けられたかも知れないというのは理解できる。

ただ、頭がたくさんある蛇が神格化されている理由を説明できない。

ただ、東洋の宗教では、普通より部位の多い神様が沢山登場している。

阿修羅

阿修羅は顔と手が3セットある。千手観音は手の数が多い。

金泉寺の千手観音像

ヒンズー教になると、それが凄いことになっている。

カーリー神(Kali)ヒンドゥー教 の女神

やはり、東洋の宗教に多頭のヘビたちの出処があるのだろう。

生物で頭がたくさんある動物は存在していない。必要ないからである。

だが、可能性はある。奇形腫である。

実際に、多頭の奇形種がいたと考えたほうがいいかもしれない。

その目撃例が、複数の部位を持つ神々の出処のような気がする。

双頭の蛇

双頭の蛇

なぜなら、人間の想像力は、それほど飛躍できないからである。

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コメント

  1. ごるご十三 より:

    はじめまして。あるところではられてたリンクからたどり着き、
    あまりの面白さに、一から読みふけっております(まだ2017年はいったあたり)。

    言及されているかもと読み進めて来ましたが、出てこなそうなので、
    先に書かせていただきます。この先にあったらごめんなさい。

    どこかで読んだ記憶なような気もしますが、蛇、龍は、己で、水で、
    川のことだと考えます。龍退治、オロチ退治は、治水工事ではないかと思うのです。

    文明は川/河沿いに生まれています。
    川のもたらす恵みに育まれますが、同時に洪水などとの戦いも生まれます。
    力あるものが治水工事を行い、川を制御する。それが竜退治、オロチ退治。
    そして、それは全ての文明で共通に発生するため、その文明を祖に持つ
    文化圏では、同じような伝説が存在するのではないでしょうか。

    と、artworks様の記事を読みながら、どんどんと脳内を整理して
    おりまして、追加で考えたのは、中国のような大河は当然龍になります。
    日本のような川では、いくつもの川が合わさって一つになり、
    氾濫するといくつもの流れとなって襲ってくる。
    これは多頭多尾のオロチの姿にも思えます。

    いかがでしょうか。

  2. artworks より:

    コメントありがとうございます。ご指摘のように、私も川と蛇は深く関係があると思います。日本では龍神様、中国では龍、西洋では羽の生えたドラゴンとその伝説は変遷していきます。日本のヤマタノオロチ伝説も河川氾濫や、火山の噴火による溶岩の流れ、製鉄による溶けた鉄の流れなど様々な説があり、どれもが一理ある説のようです。今の私には結論を出せるほどの見識がないため、思考を永続させている次第です。今後も時間探偵をお楽しみください。