イランの歴史(3) イラン・イスラム革命
イランのことを調べていくと、中東のさまざまな国と関わり合いがあり、どんどん話が広がってしまう。
そこで再度おさらいをしながら、イランという国のことを知ろうと思う。
民族の移動
イラン人は文化的な側面からペルシャ人と呼ばれている。そして周りの国々も言葉が違う。トルコはトルコ語、アラブ諸国はアラビア語、イラクもアラビア語である。
言葉が違う理由は、出自が異なるからである。
イラン人は、もともとは中央アジアの草原地帯に住んでいた人たちである。
それらの人々が中東まで移動していった理由は、急激な寒冷化だとされている。
ゾロアスター教の聖典『アヴェスター』の中に、「厳しい寒さがやってきた。そこには死をもたらす雪が降り積もった……」(『ヴィーデーヴダート』第1章より)
という記述があり、中央アジアからイラン高原へ移ったと考えられている。
そして、アジアの草原地帯に住んでいた人々は二手に分かれる。
東方のインドへ向かった人々と、西方のイラン高原へと入り込んだ人々である。
インド北部へ入り、サンスクリット語の基礎を築いた人々がインド人の祖先である。
イラン高原へ入り、古代ペルシャ語などを話した人々をペルシャ人という。
その過程は数百年から1000年近い歳月に及ぶとされている。
その移動と定住の過程で、極めて厳格な階級社会を構築していく。
インドに入ったアーリヤ人が形成したのがヴァルナ制(カースト制度の原型)であり、イラン人はインドほど固定化された「カースト」には発展していないが、王権を支える貴族や祭司階級が特別な地位を持つ構造は共通している。
そしてインドではバラモン教(後のヒンドゥー教)、イランではゾロアスター教が成立した。
戦いの歴史
紀元前4世紀、マケドニアのアレクサンドロス大王の侵攻によって、アケメネス朝(イラン)は滅亡する。
さらにローマ帝国と、復活したササン朝(イラン)は、およそ700年にわたって断続的に戦う。
その戦いは両者の共倒れとなった。
両帝国が疲弊しきった隙を突くように、アラビア半島から新興勢力のイスラム軍が登場する。
イスラム軍は「アラビア語を話すアラブ人の集団」だったが、次第に「人種を問わないイスラム教徒の巨大な連合軍」となっていく。
それが現代のイランにつながっていくのである。
かなりざっくりだが、それがイランがイスラム教となった理由である。
東西を結ぶ十字路
中世イランは、その地理的条件から「東西を結ぶ十字路」であったため、常に北東(中央アジア)からの遊牧民族の侵攻にさらされ続けていた。
13世紀のモンゴル帝国
チンギス・ハン率いるモンゴル軍が侵攻し、当時イラン東部を支配していたホラズム・シャー朝を徹底的に破壊する。
その後、チンギス・ハンの孫フラグが再び侵攻し、バグダードを陥落させてアッバース朝を滅ぼす。
十字軍
イスラム王朝にとって、聖地エルサレムを巡る十字軍は宗教的・政治的な「共通の敵」であった。
ティムール
14世紀末、モンゴル帝国の崩壊後に現れた、トルコ化したモンゴル人ティムールはイラン全域を征服する。
中世初期においては、西方のビザンツ帝国が最大のライバルとなった。
すごい歴史である。

Demonstrators hold a poster of Ayatollah Ruhollah Khomeini, in January 1979, in Teheran, during a demonstration against the shah. (Photo by AFP)
ホメイニ師登場
地政学的にも交差点のど真ん中にあるようなもので、決して安全な地域ではなかった。
そして近世になって、とんでもないものが発見された。
それはご存じのように石油である。
イランの原油確認埋蔵量は世界第3位(ベネズエラ、サウジアラビアに次ぐ規模)で、世界シェアの約12%を占めている。
そしてその富のおかげで、国王は「白色革命」と称して西洋化と工業化を強引に進める。
農村を解体し、都市に人があふれ、石油で潤ったはずの国で物価が跳ね上がり、インフレが起きる。
当然そのことに不満を持つ人々が現れたが、国王はSAVAK(サバク)と呼ばれる強力な秘密警察を使って、反対勢力を徹底的に弾圧した。
さらにパフラヴィー朝はアメリカと非常に親密で、軍事や経済をアメリカに依存していた。
そんなイランに、「アメリカにもソ連にも従わない、独立したイスラムの道」をホメイニ師が唱える。
そして「国王を倒す」という一点において、共産主義者、自由主義の知識人、そして宗教勢力が手を組んだのである。
まさに奇跡である。世界でも類を見ない「イスラム法学者による統治国家」が誕生した。
これがイラン・イスラム革命(1979年)である。
イランの歴史(1) ペルシャ文化の国の誕生
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イランの歴史(2) イスラム教は戒律が法律
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イランの歴史(3) イラン・イスラム革命
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イランの歴史(4) 大小サタン対イラン
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