タイトルといい、出だしといいあんまりぱっとしない映画かなと思いながら見ていたのだが、どんどんストーリーに入ってしまい、ラストのどんでん返しに衝撃を受ける。
こんな上質の物語は久しぶりに出会い、嬉しくなってしまった。
名匠ジュゼッペ・トルナトーレ監督が、刺激的な謎をちりばめて紡ぐミステリー。天才鑑定士が姿を見せない女性からの謎めいた鑑定依頼に翻弄(ほんろう)されていくさまを、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの音楽に乗せて描く。偏屈な美術鑑定士には、『シャイン』などのジェフリー・ラッシュ。共演には『アップサイドダウン 重力の恋人』などのジム・スタージェス、ベテランのドナルド・サザーランドらが名を連ねる。
偏屈な美術鑑定士ジェフリー・ラッシュがいい。クレア(シルヴィア・フークス)もミステリアスでリアリティがあった。
骨董品と絵画の世界も気に入った。しかし一番気に入ったのはストーリーである。
機械職人ロバート(ジム・スタージェス)と小人の女性が、強烈な伏線となっていたことに気づかされた。
予想もしなかった展開に、拍手である。
しかし、どんでん返しがあった後のラストシーンが少し長い。なぜこんなに長く絵をとっていたのか。
もっと凄いどんでん返しがあるのかと思ったら、静かな印象的なシーンで終わる。
後で思ったのだが、主人公の偏屈な美術鑑定士こそが、「広場恐怖症」で、つかの間の愛に突きうごされた心が「広場恐怖症」を克服するキーポイントだったのだ。
時計に囲まれた喫茶店に一人座る年老いた男。
孤独の本当の意味をジュゼッペ・トルナトーレ監督は見る人に伝えたかったのかなと思う。
人間らしさは、孤独に満ちあふれている。
人間ってそんなもんだよっていいたかったのかな・・と思う。