中立なメディアという名の伝説の生き物

共同通信世論調査「消費減税、71%が財政に不安」の報道 Xに批判が殺到したワケ

この設問と結果に、前衆院議員の島田洋一氏が疑問を呈した。(割愛)
「回答欄に『質問がおかしい』を加えるべきだ。マスコミの世論調査一般に言える。共同が、『代わりの財源は確保できていません』と勝手な断言をした上で、消費税減税に「不安を感じるか」「感じないか」と誘導質問」などとXに書き込んだ。
https://www.zakzak.co.jp/article/20260824-LUFS6QFV45GLVOQTEQ72J2KBTA/

 
 
世の中には「中立・公正な報道」という、ツチノコ並みに誰も見たことがない伝説の生き物が存在するらしい。朝起きて新聞を開き、夜にテレビをつけ、移動中にスマホをいじる我々は、知らず知らずのうちに誰かが丹精込めて調合した「思想のスープ」をゴクゴクと飲み干している。
 

AIのイメージ画像

 

まずは新聞と雑誌の棚を眺めてみよう。日本のメディアは実に見事な「味付けの住み分け」を完成させている。

 

朝日新聞や岩波書店の『世界』は、戦後一貫して「平和と人権と権力監視」という清く正しいオーガニックな理想を説く。しかし、その高潔な説教に疲れた人々は、読売新聞という「現実主義の幕の内弁当」や、日経新聞という「金儲けの処方箋」へと流れる。さらに刺激を求める層は、『月刊Hanada』や産経新聞のような「激辛ナショナリズム麻婆豆腐」に手を伸ばす。

 

不思議なことに、ビジネスとして売れるのは圧倒的に「保守」の看板だ。書店に行けば、隣国への怒りやリベラル批判を書き殴った本が山積みになっている。人間というものは、小難しい国際法や倫理を説かれるよりも「あいつらが悪い! 日本は素晴らしい!」と怒りを共有する方が、はるかに財布の紐が緩むらしい。資本主義の神様は、どうやら思想の崇高さよりも大衆の怒りの熱量に軍配を上げる。

 

テレビの世界に行けば、事態はさらに喜劇的になる。放送法という名の「みんな仲良く中立に」という建前を掲げつつ、裏では親会社である新聞社の血筋がしっかりと顔を出す。

 

テレビ朝日やTBSは「弱者の味方」という看板を掲げて政権を叩き、日本テレビは無難な生活情報とお茶の間の空気を守り、テレビ東京は地球が滅亡しかけても美味しそうなマグロ丼を紹介している。

 

だが、ここでメディアを操っているのは、崇高な愛国心や平和への誓いなどではない。「視聴率」と「編集権」という名の俗物である。

 

ニュース番組のディレクターは、街頭で何十人にもマイクを向けながら、自分が前日深夜に書いた台本通りのコメントを吐いてくれた一般人だけを巧みに切り取る。そしてスタジオでは、言わせたい結論に合わせて選ばれたコメンテーターが、神妙な顔で「これは大問題ですね」と頷く。複雑な現実を「善の市民 vs 悪の権力」という水戸黄門ばりの勧善懲悪ドラマに仕立て上げなければ、視聴者はすぐにリモコンのチャンネルを変えてしまうからだ。

 

そして現代、このメディアの茶番劇は壮大なる「世代間分断」という傑作を生み出した。

 

暇と投票権をたっぷり持ったシニア層は、昼下がりのワイドショーが煽る「正義の怒り」を浴び続け、横並びの空気感に流されていく。一方、テレビを捨てた若者や現役世代は、スマホのアルゴリズムという親切な悪魔に魂を売った。YouTubeやSNSを開けば、自分の好みの極論ばかりが無限に流れてくる「タコツボ」の中で、「テレビが隠す真実」とやらを嬉々として拡散している。

 

右を向いても左を向いても、そこに広がっているのは「自分が見たい真実だけを見て、反対側を愚か者と罵る」という、実に平和で滑稽な地獄絵図である。

 

我々は騙されているのではない。自分にとって耳触りの良い偏りを、自ら選んで美味しく消費しているだけなのだ。さて、あなたが今日信じたそのニュース、誰がどんな顔をして差し出したエサだろうか。

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