超広角レンズを買う 体感を写す
超広角レンズとは、35mm以下の焦点距離のレンズのことを「広角レンズ」、24mm以下の焦点距離のレンズのことを「超広角レンズ」と呼んでいる。
私は職業写真屋なので、撮影業務に必要なレンズは一通り持っている。
実はすでに超広角と呼ばれるレンズも持っている。Canon EF 17-35mmで定価は21万だった。
このレンズは今も現役で、何の問題もない。
今回買ったのはルミックス7-14mmのレンズだ。
これは、現在サブカメラで使っているHG4のレンズである。
35mm換算とは
レンズの画角は撮像素子の大きさで決まる。なので同じカメラメーカのレンズでも見え方が変わるのだ。
私は一貫して、35mmはキャノンのカメラを使っている。
初代はF-1と呼ばれるフィルム式カメラからスタートして、今はイオスである。
フィルム時代は、フィルムの大きさは統一されていたので、画角の混乱はなかったが、現在はデジタルで撮像素子の大きさが違うので、いろんな組み合わせで画角が変わる。
レンズの説明に、35mm換算と書かれているのはフィルム時代の画角を基準として書かれている。
これが意外とややこしいのだが、ボディに何を使っているかで画角(見え方)が変わってしまうのだ。
私はキャノンオンリーで、他のメーカーの事はほとんど知らないし、他のメーカーは興味がないので、キャノンの事を書く。
キャノンの一眼レフデジタルカメラには2種類ある。
フルサイズ(フィルムと同じ大きさ)撮像素子をもつイオス1とイオス5で、もう一つの規格はAPS-Cサイズと呼ばれる撮像素子で、1と5以外のカメラである。
ちなみに、フルサイズとAPS-Cサイズを比べると、フルサイズが36mmx24mmに対して、APS-Cサイズが24mmx16mm(実際にはもう少し小さい)だ。
私が仕事でよく使うカメラは7D(APS-Cサイズ)なので、EF 17-35mmの場合、約1.6倍の焦点距離になる。
一番広角側の17ミリは、35ミリ換算で21ミリくらいの広角になる。なのでAPS-Cサイズのボディを使っても、超広角の部類に入る。
という事で仕事用のキャノン系カメラ群に関しては問題はない。
しかし、サブカメラとして買ったのはルミックスGH4で、このカメラの撮影素子のタイプはマイクロフォーサーズというものである。
これだとフルサイズの半分の大きさの撮影素子となり、表示されている画角の2倍が35mm換算となる。
なので7-14mmのレンズの見え方は、35mm換算で約14ミリから24ミリとなる。
あーややこしい。
カメラ好きの人なら、抵抗なく読んでくれるだろうが、あんまり興味のない人はどうでもいい話である。
とりあえず超広角レンズを一本買ったというだけの話である。
ちなみに最近よく聞かれるのが、フルサイズはやっぱりきれいに映るのですかという質問だ。
たしかに素子が大きいので奇麗なのだが、一般の人が趣味で使うのなら、あんまりこだわらない方がいい。
まずカメラ自体の値段が高い事と、カメラやレンズが大きく重たくなる。
長い間写真の仕事をしているが、APS-Cサイズであろうとマイクロフォーサーズであろうと、仕事で問題が出たことは一度もない。
大切なのは技術と知識である。
現在も様々な大きさの撮影素子のタイプが出てるいるようだが、要は長所と短所を分かったうえで使えばいいだけなのだ。
スマホの撮影素子
普通のデジカメ(バカチョンタイプ)は1/2.3インチが主流で、スマホは1/3インチである。
撮影素子が多ければ奇麗なのは事実だが、科学の進歩というやつで、スマホでもかなりきれいに撮れる。
何度も言うようだが、大切なのは技術と知識で、さらに重要なのは、構図とシャッターチャンスだ。
特に、ストロボやスタジオライティングをしないスナップ撮影オンリーの人なら、シャッターチャンスが命と言ってもいいだろう。
そこんとこ、重要ですよ。
超広角
小型軽量、何でも屋のルミックスGH4を持ち歩いて、趣味の神社、遺跡巡りをしているのだが、今まで使っているレンズで物足りなさを感じていた。
いつもカメラにつけているのが14ミリから140ミリのレンズで、35ミリ換算だと28ミリから280ミリである。
普段は困らないのだが、対馬に撮影に行った際、巨木の下にある祠など、すべてを画角に入れることができなかった。
その事で悶々としてしまった。
これまで超広角レンズを使わなかったのは、大きな短所があるからである。
超広角レンズの短所
それは、周辺部のゆがみである。
人間を撮る時も、物撮りなどの撮影は、基本的に標準レンズ以上でとる。
建物や部屋の中の場合、しょうがなく24ミリくらいの画角でとるのだが、どうしても周辺部にゆがみが出てしまう。
お金をもらって撮影しているので、違和感が出るような映像は、なるべく避けるのだ。
なので、撮影後フォトショップなので、できる範囲の補正をする。そして超広角レンズはなるべく使用しなくなった。
だけど、趣味の撮影は別である。
雰囲気を写すことができる超広角
人間の視野は左右だと最大200度くらいで、両眼で見れるのは120度あたりだといえる。
よく、35ミリ換算で50ミリ相当のレンズが人間の視線に近いといわれているが、これは見え方の事であって、視野は水平画角で40度くらいだ。
水平画角を人間の両眼並みの120度くらいの視野にしようと思えば、パノラマ撮影か、10ミリという超広角レンズしようという事になる。
ここは重要なところである。
巨木が立ち並ぶ神社に行けば、その周りの威圧感が尋常ではないことを感じる。
この威圧感というか、雰囲気を伝えようと思えば、超広角レンズが最適なのだ。
しかし機械のレンズの悲しさで、周辺部分が大きくゆがみ、非現実のように映ってしまう。
人間の目はスーパーバイオレンズなので、風景がゆがむことはない。
このギャップが超広角レンズの使用をためらわせているのだ。
しかし、周りを見渡せば人間の視覚に合わせようとしているものがある。
それがハイビジョンやシネマスコープと言われる映像の画角である。
ハイビジョンの縦横比は16:9であり、映画のシネマスコープの比率は2.35:1だ。
これは人間の視野に近づけるように規格化されている。
写真のアスペクト比は3:2、コンピュータのディスプレイやコンパクトデジタルカメラなどは4:3である。
これは何を意味するかと言えば、写真のサイズは人間の視野に対して、あっていないという事になる。
つまり、人間は横長に見ることができる目を持っているのだ。
この事が、雰囲気をリアルに伝えることができない要因になっている。
アイフォン11の超広角レンズの登場
アイフォン11が超広角レンズの画角は13ミリくらいと言われている。そしてその映像は、ゆがみ補正がされている。
これは、プロのカメラマンにしてみれば驚愕の事件である。
超広角の欠点は先に述べたとおり、周辺部のゆがみである。そして一眼レフでゆがみの少ない超広角を購入しようと思でば、大きくてかなり高価なレンズになってしまうのである。
ちなみにキヤノンのEF14mm F2.8L II USMは約26万円である。
さらに、一般人には望遠系は受けがいいのだが、超広角系はそれほどでもない。
その部分に切り込んできた、アイフォンは素晴らしいと思う(少し値段が高すぎる)。
そしてこれはそう簡単にまねのできない技術である。
私の超広角レンズ購入もアイフォン11の超広角レンズ登場が、きっかけになっているのだ。
マイクロフォーサーズ
私のサブカメラは、ルミックスのマイクロフォーサーズ規格だ。これは撮影素子がフルサイズの半分である。
プロのカメラマンだど、撮影素子が広ければ画質がいいので、画質重視の仕事ではマイクロフォーサーズ規格は使わないだろう。
しかし、マイクロフォーサーズ規格の長所として、ピントが深く、カメラサイズを小型軽量にできるという事にある。
私みたいな60代のおじさんにしてみれば、カメラが大きくて重いと、持ち歩くのに躊躇する。
若い時代は大きくて重いカメラがプロのステータスだったので、問題なかったのだが、現在ではキャノンは仕事以外では使わない。
何年か前、首に異変があったので整骨院に行ったら、首の骨が前に湾曲しているといわれた。
これは、何十年も重いカメラを首にぶら下げているからだと思う。健康の為にも軽いカメラがいいと悟った瞬間である。
さて機材はそろったので、後は撮影するだけだ。
ただ、その映像の良し悪しは技術とセンスがモノを言う。
年を取って感覚が衰えてなければいいなーと願うだけである。