集合写真の並べ方

30名から40名の時の集合写真の話です。

ひな壇かパイプ椅子か

30名前後だと、ひな壇をスタジオから持ってきてセッティングをするか、会場のパイプ椅子を利用するか、判断の分かれるところです。

ひな壇はスチール製でできていて、重たくかさばりますので、持ち込みにはひと手間かかります。さらに、セッティングも、やや時間がかかり、大きな音が出てしまいます。

会場によっては、ひな壇を持ち込むのが難しい場所もあり、舞台の狭い所は設置できません。例えば多良見の海のホールとか、旧香港上海銀行ホールなどは、なるべくひな壇は持ち込まないようにしています。

ひな壇

ひな壇

パイプ椅子は、会場から調達すればいいので、事前に数を用意するだけで事足ります。ただ、そこの会場の椅子の形状などが問題で、上にのれない椅子や、椅子の上に立つことを禁止している会場もあります。

例えば、長与の文化会館では、椅子の上に立つことを許可していませんし、県庁や美術館の椅子は、メッシュになっていて、立つことができません。

ケースバイケースなので、主催者と相談して決めるようにしています。

下の写真は、会場のパイプ椅子を使ってセッティングした場合です。

後ろの列をさかさまにして使用すると、靴も脱ぎやすく、危なくないのでお勧めです。

写真の場合は、前列は椅子に座り、2列目は椅子と椅子の間に立ち、三列目は椅子の上に立つというやり方です。

集合写真の時の椅子の並べ糧

集合写真の横列は、プリントサイズによって変えている

写真スタジオが集合写真につかうプリントサイズは、特殊な横長で、私たちはグランドサイズと呼んでいます。

縦がキャビネ、横が八つ切りのサイズというもので、一般の方向けの写真屋さんでは、取り扱っていません。

もちろん、それ以外のサイズでもいいのですが、縦横の比率が問題で、2Lサイズなどは、2:3という一般の紙と同じくらいの比率で、このサイズで集合写真を撮る場合は少し注意がいります。

グランドサイズの場合、横を10人ぐらいで並べますが、2Lサイズの場合、横は5人から8人くらいにします。

要するに、横に並べすぎると、写真サイズの比率が決まっているので、天地が空きすぎ、人物が小さくなってしまうのです。

つまり、納品する写真サイズや、撮影する人物の身長具合を見ながら、前列の幅を決めているのです。

2Lサイズの並べ方

セッティング

集合写真のセッティングをやっている時間に、集合写真に写る子を舞台に上げていきます。

後は生徒たちを並べればいいだけです。

この作業は先生たちがやる場合と、私がやる場合があります。

集合写真のストロボ機材の例(大型ストロボを設置)

小さい子は当然前に座らせます。

後はどんどんひな壇に上げていけばいいのですが、並べ終わって全体を見ると、生徒の背の高さがばらばらなので、何かでこぼことした印象になってしまいます。

生徒たちの並び順は、前列が低学年で上に行くにしたがって、高学年になります。

これでいいんですが、集合写真の見栄えからいうと、でこぼこしている写真はあまりいいとはいえません。

小学生でも背の高い子は居ますし、中学生でも小柄な子が居ますので、並び順で、そのまま並べると、真ん中に背の高い子がいたり、両端に小柄な子が居たりしてしまうのです。

それは、並んでる本人たちはわかりません。

客席から見ないとわからないからです。

並び順を最初から決めている先生や、並び方に意味がある場合は

一応でこぼこだということを告げて、そのまま撮影します。

それで終わりなのですが、出来上がった写真を見て先生からクレームが出る場合もあります。

前列の子が大きすぎて、後ろの子供の姿が見えにくかったりする場合なのです。

なるべくそうならないように気は配るのですが、舞台の横からではわかりにくいので、出来上がって初めてわかる場合もあるからです。

撮影前のテスト

すっきりとした集合写真を撮る為には、ひな壇にあげる前に生徒に指示をしなくてはなりません。

一度ひな壇に上げてしまうと、右左に移動しにくいものです。

特に上の段に立っている生徒は、移動の際に後ろに落ちて危ない場合もあります。

なので、並べてからの移動は、最小限にしてあげたほうが、安全でスムーズになります。

並べ方

舞台に上がっている子供たちは、学年順に並んでいます。

子どもたちを並べる

まず幼稚園や1年生を誘導するのですが、やはり背の高さがばらばらの場合がありますので、席に座る前に一番小さな子を真ん中に座らせて、その左右に子供たちを座らせます。

一度座らせると、なかなか動かせないので、すばやく的確に位置を決めてあげて、座らせるのがポイントです。

次に2列目ですが、そのまま並ばせると、右端が小さな子になり、左端が大きな子となります。

つまり右下がりの斜めになってしまいます。

なので、真ん中まで移動させてそこでとめます。

奥に行かないようにするためです。

左端を埋めたら、生徒たちに逆の入り口に行くように指示をするのです。

こうすると、大体真ん中が低く両サイドが背が高くなりバランスが取れます。

ただし、あんまりキチキチに並べないようにしないと、後の微調整が難しくなるのです。

2列目、3列目も同じように並べていきます。

そして一番上の列は残しておきます。

この時点で、一度全体を見て微調整をしていきます。

下の段の子を上に上げたり、左右を入れ替えたりします。

ここで、大体仕上げていき最後に一番上の生徒を段の上に上げます。

なんだか大変なように思えますが、流れ作業でやっているので現場で、もたつく事はありません。

完ぺきに均等にはなりませんが、見た目の違和感がなるべく無いようにします。

また、いくら背の差があっても高校生の小柄な子を小学生の列の真ん中には持って行きません。

やはり子供たちにもプライドがありますので、気を付けています。

大体きれいに並んでいて、学年の高い子が上に来ていれば良しとします。

この並べる作業に時間をかけてしまうと、最初に並べた低学年の子供が飽きてしまうので、なるべくすばやくやる必要があります。

35名くらいなら10分以内でやるようにしています。

大体並べたら、すばやく撮影位置に行き、大声でみんなに指示をして撮影開始です。

長与町民文化ホール

デジタル加工をする場合もあります

「はい撮りますよ。いちにーのさん」

バシャ!

一回のシャッターだけでは、誰かが目をつぶっている場合がありますので、何枚か撮影します。

何枚か撮影しても、誰かが目をつぶっている場合もあります。

そうなったら、パソコンの出番です。画像を加工して、みんなが目をあいているように仕上げるのです。

そのやり方は、様々ありますが、秘密です。

集合写真にも、うまい下手があります。

それは、この並べ方なのです。

すばやく、的確に並べていく。

目立たないですが、これが写真屋の腕の見せどころです。

 

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