ひぐちの火事 歴史の中の長崎火災事件

2020-10-17 13:14 アートワークス撮影

火事は恐ろしい。
 
写真はブリックホールから撮影したもので、たまたま出会った火事だった。
 
黒煙が青空に広がり、尋常ではない事態をすぐに感じ取れた。
 
その後、ニュースやツイッターで現場の写真を見て、「ひぐち」だったんだとわかる。
 
ひぐち、浦上まるみつ閉店 長崎・浦上駅前火災で全焼
2020.10.22 23:28  長崎新聞
 

パチンコ店や飲食店などを焼いた火災=17日午後1時10分、長崎市岩川町 ヤフーニュース

 
 
火事の原因は確定されていないが「火元は割烹店2階」とも言われており、この火事のせいで、「割烹ひぐち浦上本店」と「浦上まるみつ」は閉店を決定する。
 
パチンコはしないが、割烹には時々行ったので、昔からある店舗が無くなるのは寂しい限りである。
 

火災の歴史

 
火災は、人類が火を操るようになって以来、常に起き続けている。そして落雷による火災や、火山爆発による火災もたくさんある。
 
ただ火事が多すぎて正確なことがわかっていないのが現状である。
 
記録に残っている長崎の火災の事を調べてみる。
 

寛文長崎大火

まず1663年4月15日「寛文長崎大火」というのが年表の最初にある。
 
寛文3年(1663年)3月8日の巳の刻(午前10時から正午)に、筑後町で火災が発生。その火は北風に煽られ町へと広がっていき、長崎市中のほとんどを焼き尽くす大火災となった。
 
原因は浪人・樋口惣右衛門による放火で、惣右衛門が発狂して自宅の2階の障子に火をつけ、さらに隣家の屋根に投げつけて発火させたとある。
 
火事後、焼け出された長崎住民の復興の為、長崎奉行の島田守政は、幕府から銀2000貫を借り、住民に20万円(現在の価値で)ほどの金を配り(貸付)焼失した住宅の復旧を図ったとある。
 
この話はコロナの給付金と同じで、昔からやっていたんだと知る。
 
長崎奉行はこの火事を教訓として道路の幅を本通り4間、裏通り3間、溝の幅を1尺5寸と決め、計画的に整備していく。この時に造られた道幅は、以後も長崎の都市計画の基本となっている。
 
1間は約1.8メートルなので、本通り4間というと7.2メートルになる。浜の町アーケードの道幅を図ると、浜屋の通りは約5メートルなので裏通りの規格だとわかる。
 
まさにクラッシュ&ビルドだ。
 
1698年6月1日「末次火事」というのが起こっている。
 
元禄11年(1698年)4月23日の未明に、後興善町の乙名(おとな)である末次七郎兵衛宅から出火。強風により大火となり、午後4時に鎮火するまで約12時間燃え続けた。
 
この火事は、付近の町22町に延焼し、家屋2044軒、土蔵33棟を焼失。被災者9832人、死者男7人、女1人。この他に犬121匹、猫297匹の焼死も記録に残されている。
 
犬猫の焼死も多数あるのが悲しい。ただ大火事なのに人間の死者数が少ないのが救いである。
 
火災の後、奉行所は被災者のために緊急米が2000俵を放出している。
 
この火事により、長崎に入港していた唐船20隻分の荷物を収納していた土蔵18棟も全焼した。そのため、元禄15年(1702年)に浜町の海岸沿いを埋め立てて人工島が造られ、そこに倉庫が建設された。この倉庫は新地蔵所と呼ばれ、唐船専用の貨物倉庫となった。この地は現在は新地町と呼ばれ、長崎の中華街となっている。
 
なるほど。
 
新地は火事のため出来たと知る。
 

新地中華街 アートワークス

それ以外にも1784年の唐人町の火災や、1798年の多くの建物を失った出島の大火があったと記録されている。
 
また、長崎がキリスト教の町になっていく過程で、神社仏閣の多数がキリスト教の信者によって、焼かれたことも事実である。
 

防災の神様

都市の進化は火事や災害のたびごとに、進んでいく。長崎の歴史を調べていくにはその事を留意していかないと解らなくなってしまうのだ。
 
長崎の愛宕神社は防災の神様である。愛宕山の頂上にある愛宕神社の真裏に「太郎坊神社」があり、これは天狗を祀っている。
 
なぜ天狗かと言えば、天狗の持っている団扇の神通力で火事を吹き消すためだろう。
 

愛宕山 太郎坊神社

あとは本河内後部貯水池の妙相禅寺の山の方に、秋葉大明神という鳥居が立っている。
 
秋葉は火災・火除けのまじないでもある。
 
東京の秋葉原は、火除地として設置された広大な空き地に、火除けの秋葉大権現を勧進したことによる地名である。
 

秋葉大明神

 

平成30年の長崎火災概況

総出火件数は37,900 件で、これは、おおよそ1日あたり104件、14分ごとに 1 件の火災が発生したことになる。
 
火災による総死者数は1,422 人、負傷者数は6,022 人。
 
出火原因の第1位は、「たばこ」3,385 件(8.9%)、「たき火」3,064 件(8.1%)、「こんろ」2,838 件(7.5%)、「放火」2,741 件(7.2%)、「放火の疑い」1,965 件(5.2%)の順となっている。「放火」及び「放火の疑い」を合わせると 4,706 件(12.4%)で、1位になる。
 
この放火が一番というのは全国でも同じ割合になる。
 
放火する理由のメインは、建物の中にいる人物に対して恨みや復讐心を抱いていている場合である。
 
恨みや復讐の理由は、人間関係のトラブル・恋愛トラブル・金銭的トラブルなど様々なケースがある。それ以外にも愉快犯というのがいる。
 
タバコも怖いが、やはり精神のバランスを壊した人間が一番怖い。
 
これから冬になり、火を使う機会が増えてくる。
 
くれぐれも火の用心を心掛ける事にする。
 

火の用心

 

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