唐八景下 厳嶋神社
住所は茂木町なんだが、唐八景公園から下っていくので、唐八景下と書いた。
祭神は市寸島比売命(イチキシマヒメ)。
市寸島比売命は天照の子供で宗像三女神の一番下の女神。
海の神様で、長崎にも市寸島比売命を祭神にしている神社は多い。
普通は海の近くにあるのだが、ここの厳嶋神社は山の中。不思議である。
細い山道を下って目的地近くについたのだが、左手に竹やぶがあるだけで神社はない。
もう少し下っていくと、墓が何基か有り、その左手奥に草木に見え隠れする鳥居を見つける。
意を決して、草木をかき分け鳥居までたどり着く。その奥に参道があるはずなのに、これ又草木に覆われていてない。
上を見上げると、急斜面の崖があるだけ。ただ、昔、道だったようで、獣道のように道らしい感じがする。
これ又、意を決して這いつくばりながら登ることにした。
雨上がりなので、崖の土はぬかるんでいる。両端に生えている竹や雑木に捉まりながら20メートルほど登る。
青息吐息で登りきると、少し広場になっていて、石垣の上に小さな祠があった。
それが厳嶋神社だった。
木造の祠の扉を開けると、人型と思われる石が御神体として鎮座している。
「うーん」
厳嶋神社ならば、鏡か御札、紙垂くらいが祀っているはずなのだが、人型の石となれば、元は厳嶋神社ではなかったのだろう。
御神体の前に、ろうそくと線香立てがあるので、仏様だった可能性がある。
それ以上は何もわからなかった。
この厳島神社からもっと下ると、白雲顕山 蓮聖院 地蔵菩薩の寺院が有り、もっと下ると弁財天がある。
弁財天を祀る神社は、明治になってからの神仏分離で、よく市寸島比売命に祭神を変更した神社が多い。
例えば、淵神社がそうである。
ここの厳嶋神社もそうかも知れない。
まあそれだけではなく、いろんな神様、仏様が同居していたとも考えられる。
どれくらい昔からこの場所に祠があったのだろうか。
周りを囲む薄暗い竹林の中で、一服しながら考えた。