宮摺 竈(かまど)神社 樹齢350年の大クス
宮摺の集落の中を山に向かって走ると、右手に石碑があり、その下に竈(かまど)神社がある。
社殿の横には樹齢350年の大クスは巨大で、見る者を圧倒するほどの巨木。まあこの大クスを見るだけでもここに来た価値はあるだろう。
大クスばかりが有名で、肝心の神社の解説はほとんどない。
寛永3年(1626)創建
祭神 奥津日子神(おきつひこのかみ)・奥津比売命(おきつひめのみこと)
あまり聞きなれない神様だが、古事記にも載っている。
この神様は大年神の子供だ。
大年神は、皇室系統でもなく、生活に根差した神様で、毎年正月に各家にやってくる来訪神だとある。
民俗情報工学研究家の井戸理恵子さんの話だと、祭りの語源は、待つであり、身ぎれいにして神様を迎えることから始まったという。
民俗学の折口信夫氏は来訪神を「まれびと」と名付け、「まれびと信仰」は日本人の信仰において、最重要だと位置付けている。
竈神社の祭神、奥津日子神を祀っている神社が、宮摺より南の為石の為石神社にもある。
なので宮摺と為石は同じ流れがあると思われる。
竈(かまど)の重要性
一般家庭で竈は最重要なモノだ。
竈の火が絶えないという事は、食べ物が絶えないという事になる。この事で、毎年の豊作を祈願することになる。
豊作になるためには、気候に大きな変化がなく、家族の人数が減らない事や、地域に災害が来ない事だ。
その為に、正月や秋の決まった時にやってくる来訪神つまり年の神さまにお供えを作りもてなす。
これこそ、日本人の信仰の原点にあるものだろう。