雲仙の木花咲耶姫神社 リアルな男神、女神
雲仙には由緒ある温泉神社がある。呼び名は「うんぜんじんじゃ」である。
本来は四面大明神という古い由来のある神様を祀る神社で、僕も何回か参拝をしている。
今まではそれほど手入れをしていなくて、古びた神社だったのだが、先日行ったら、令和改元ブームで、社務所が開き御朱印を販売していた。
それに合わせてか、神社内もだいぶ観光地用に綺麗にしている。
それ自体悪いことではないと思うが、その変わり身の速さに「ふーん」と思う。
本来神社は貧乏である。
神社の収入源で最も大きなものが結婚式を始め、七五三やお宮参りなどで得られる祈祷料で、賽銭、お守りやお札等の物販による収益も重要な収入源である。
また、どんなに収益のある神社であっても神職の給料の上限は月額60万円までという神社本庁が定めた規定がある。
なので大半の神職はその階位に応じ、月収20から40万円前後の収入しかない。
仏教の僧侶も、基本的には一般的な会社員とさほど変わらないと考えていい。
所が、仏教は葬式を抑えている。めちゃくちゃ高い葬式のお経代や、よくわからない戒名代、何回も行う法事など、死にたいして様々な利権を作り出して稼いでいるのだ。
個人的には、キリシタン禁止令がなくなった今、寺の檀家制度は必要なくなっていると思う。
戒名や葬式代に値段差があるのも納得できない。
神主や僧侶を目指す人達は、利益を追求しないところに偉さを感じるものだ。
金儲けに走っている宗教関係者は、いつかバチが当たると信じる。
話をもとに戻す。
グーグルマップで見ると雲仙の観光地内に木花咲耶姫(このはなさくやひめ)神社があるという。
調べると温泉神社の近くで、原生沼の近くだ。
木花咲耶姫は古事記に登場する女神である。
大昔、日向に降臨した天照大御神の孫・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)と、笠沙の岬で出逢い求婚される。
父の大山津見神はそれを喜んで、姉の石長比売と共に差し出したが、瓊瓊杵尊は醜い石長比売(いわながひめ)を送り返し、美しい木花之佐久夜毘売とだけ結婚した。
なんとあからさまな男の本性だろうか。神様といえども、醜女よりは美女が良かったのである。
大山津見神はこれを怒り「私が娘二人を一緒に差し上げたのは石長比売を妻にすれば瓊瓊杵尊の命は岩のように永遠のものとなり、木花咲耶姫を妻にすれば木の花が咲くように繁栄するだろうと誓約を立てたからである。
しかし、木花咲耶姫だけと結婚すれば、瓊瓊杵尊の命は木の花のようにはかなくなるだろう」と告げた。
それでその子孫の天皇の寿命も神々ほどは長くないのである。
そんな逸話である。この話は奥が深い。
なんと木花咲耶姫は、天上の瓊瓊杵尊と結婚して、一晩で妊娠してしまう。
瓊瓊杵尊は自分の子ではないと疑う。
当然だろう。誰かの子を宿した娘を押し付けられたと思ったのだ。
しかし木花咲耶姫にも女の意地がある。
瓊瓊杵尊の子供だという事を証明するため、産屋に入る時に言い放つ。
「お腹にいる子が、神の子ならば火の中でも無事に生まれるはず」そういうと本当に産屋に火を放ち、3人の子供を無事に生んでしまう。
そして火照命(もしくは火明命)・火須勢理命(ほすせりのみこと)・火遠理命の三柱の子を産んでしまう。
火の中で生まれたので、三人の子には火の文字がついているが、この三兄弟の中の長男と三男が有名である。(日本書紀では二人しか生まれていない)
火照命は海幸彦で火遠理命が山幸彦という。
そして海幸彦は「隼人」になり、山幸彦の孫は、日本最初の天皇「神武天皇」になる。
これまた、奥の深い話で、山幸彦と海幸彦の話も意味深である。
つまり木花咲耶姫は美女で神武天皇のヒイおばあさんになる重要な女神だ。なので日本中に神社がある。
富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)、子安神社(三重県伊勢市 伊勢神宮皇大神宮内宮)、高千穂神社(宮崎県西臼杵郡高千穂町)、霧島神宮(鹿児島県霧島市)などが有名である。
美や縁結び、安産などがご利益となっている神社が多い。
そこで雲仙の木花咲耶姫だが、行くとかなりびっくりすると思う。
神社となっているが、小さな祠である。
祠の周りには虫が飛びかい汚い。
そして祠の左側には1メートルほどの男根、右の穴には大きな女性自身が祀られている。
その石物は新しいようで、時代が古くないことは明らかである。
しかし立て札には、祠は元禄からあると書いていて、「家内和合、安産、子宝の守り神とすべし」の文字がある。
しかし、しかしだ。
あまりにもリアルでたじろいでしまう。
雲仙は古来より観光地である。温泉場には、わりとエッチでいかがわしいものも沢山存在していた。
その雰囲気の流れで、誰かがこの神社を建てたのだろうと思う。
しかし、せっかくなのでもっと綺麗にしてもいいと思う。
まあ、興味のある方は一度行って見てもいいだろう。