伊良林 風頭大権現 天狗信仰と文殊菩薩
風頭公園の中の竜馬の展望台の手前にある。
赤いのぼりが何本もはためき、白い鳥居が稲荷鳥居のように11本並んでいる。
扁額には風頭大権現と書かれ、鳥居をくぐっていくと、一本の巨大な楠が道の半分を占領している。
その先の左には仏様が祀られている横長い祠。
弁天様や仁王、弘法大師もいる。
祠の右手には水場があり、水神様が祀られている。
その先に拝殿があり、大きな神額には風頭大権現と、大書されている。
回り込むように進むと、大きな注連縄がある拝殿が有った。
この注連縄はかなり大きい。
その先は、御祭神が見れるようになっているのだが、今回行ったときは全て閉じられていた。
後日行った時には開いていたので、拝殿というか神殿を見させていただいた。
左手の神殿は扉が閉まっていて、その上に天狗の面が架けられている。
もう一つの拝殿の扉から見えたのは、仏様の絵であり、その下の方には獅子舞の頭のようなものが飾っている。
これは文殊菩薩だ。
ああそうかと思った。
文殊菩薩 もんじゅぼさつ 仏の知恵を象徴する菩薩。
インドに実在した人ともいわれる。普賢(ふげん)菩薩とともに諸菩薩の上位に位置し,釈迦如来(しゃかにょらい)の左脇侍(きょうじ)。一般に右手に剣,左手に経巻をもち,獅子(しし)にのる姿であらわされる。日本には平安時代前期につたえられた。中国の五台山,日本では葛城山(かつらぎさん)が聖地とされる。奈良の興福寺,法隆寺,安倍文殊院などの像が有名。
説明文の中には「日本では葛城山(かつらぎさん)が聖地とされる」とある。
葛城修験
和歌山~大阪~奈良の境に聳える葛城の峰々。修験道の開祖と言われる役行者(えんのぎょうじゃ)がはじめて修行を積んだこの地は、世界遺産の吉野・大峯と並ぶ「修験の二大聖地」と称されています。この地には、役行者が法華経を1品ずつ埋納したという28の経塚があり、今も修験者たちは、その経塚や縁の寺社、滝や巨石を巡ります。
役行者が山伏を助けて、葛城山の大天狗を退治するという話もある。
最初の天狗の面も文殊菩薩も、修験道が関係している。
そう言えば、大きな楠の手前に、水飲み場が有ったが、そこには(天狗の)団扇紋があった。
愛宕山には太郎坊天狗が祀られている。
ここは風頭なので風頭大権現というのである。
日本を代表する八天狗は、愛宕山太郎坊、比良山次郎坊、飯綱三郎、鞍馬山僧正坊、大山伯耆坊、彦山豊前坊、大峰山前鬼坊、白峰相模坊だ。
長崎にいるのは、愛宕山太郎坊と彦山豊前坊である。
多分それ以外の天狗か、文殊菩薩かも知れない。
社務所に神盟舎とあったので調べてみたが、何もわからなかった。ネットにも載っていない。
修験道というのは、日本古来の山岳信仰で、修験道の実践者を修験者または山伏という。
長崎の山にも、修験道の人たちは沢山いただろうし、山岳信仰は長年続いている。
ただここの神社は、鳥居が多かったり、しめ縄が巨大だったり、鎮座している仏様がきらびやかすぎるので、怪しさが漂っている。
しかし、天狗信仰と、葛城山の文殊菩薩信仰とわかれば、何も問題はないはずだ。
修験道は民間大衆と深く繋がり、やや怪しげな山伏もいたのは事実である。
神道も、仏教も、修験道も、極めて行けば、私達が知らない世界だらけである。
天狗と阿修羅、スサノウ・・。知ってるだけでXメンばかりだ。
素朴な信仰も好きだが、絢爛豪華な金ピカの信仰も興味がある。
それは、どちらも、人の心にあるからだと思う。