川原町 田平神社 鳥居もなく観音様が祀られている
為石港から川原へ行く途中の宮崎川に沿って山方面へ行き、途中分岐し川を渡り、南の方の山道を行く。
それほど山道を走らず、大きいS字カーブの地点にある。
木々で囲まれた石段が少しあり、右手に石の塔が祀られている。
正面には木の小屋の社があるが、鳥居はない。ただ入り口上に、多分正月用の家庭用しめ縄が打ち付けられている。
扉はサッシで、大きなガラス戸から中を見ると、中には仏壇が作られていて、中央に金色の観音像(?)が祀られている。
これだと、全くの仏教の社である。
実はこの神社は、神社と言っていいのかなと思っている。
神社の片鱗を探せば、入り口上に飾られているしめ縄と、石の塔が祀られているお供えの所に、錆びた鳥居の金具だけである。
これだけで、神社と呼べるのかと思ってしまうのだ。
ネットの地図
いつもはグーグルマップを使っている。ナビゲーションとしても優秀だし、別に不満はないのだが、地域の川や山の名前が載っていないことが多い。
そこでヤフーの地図や、マピオンの地図、地理院の地図と無料で使える地図アプリも併用している。
マピオンの地図に、この場所が田平神社と載っていたのである。グーグルやヤフーの地図にはなんにも載っていない。
そこで今回、この場所に来たというわけである。
神社とお寺の区別は簡単で、鳥居があれば神社である。
しかし実際には鳥居があっても、拝殿の中には仏様が祀っている所も多い。
そんな場所も神社と表記されている。
これは神仏習合という信仰形態の為せる技で、地域では違和感がなく氏神として慕われている場合が多い。
まあ氏神という言い方が神道なんだけど、つまり地域を守ってくれる神仏を祀るという言い方だろう。
もう一つ神宮寺という存在がある。
神社の中にお寺がある形だ。
たとえば武家の守護神である八幡神自体が「八幡大菩薩」と称されるように神が仏と同一視されている場合がある。
この場合はお寺が儀式を執り行なうのだ。
この田平神社だが、手前にある祠に祀られている石塔が、神様だったという可能性がある。赤い前掛けで、なんと書かれているのか、よくわからないが、地域の氏神だつたのかもしれない。
なので、簡単な鳥居をつけていたのかもしれないと思う。
まあ、地図に神社と明記されていたのだから、昔は神社だったのだろう。
このあたりは、994年にこの地にやってきた河原高満の支配下である。川原大池の伝説もあるし、田平神社の周辺にも、何かしら伝説があるのかもしれない。
だが郷土誌にも田平神社の明記はなかった。
だから全て不明な祠なのだが、観音像が祀られた社は現役のようである。
だれかが記録を残してくれているといいのだがと思う。