烽火山の麓、本河内水源地のそばに、白髭大明神がある。
 
本河内水源地
本河内高部ダムの工事は、明治22年(1889)に着工、明治24年(1891)に完成したダム式としては日本初の上水道。このダムの水底には「幻の石橋」が眠っている(本河内高部貯水池内石橋/市指定有形文化財)。昭和57年(1982)の長崎大水害をきっかけに造られた新しいダムと古いダムの間に公園が整備され、地域の人々の憩いの場となっている。

本河内水源地

 
 
この場所は、長崎と矢上をつなぐ場所であり、日見峠の麓でもある。蛍茶屋があり、川沿いに多くの人々が往来していたのだろう。
 
だが、現在、矢上のバイパス脇になっているので、人通りは少なく、山里的雰囲気がある静かな場所になっている。
この地域には神社が多い。
 
それは、1721年に烽火山から出水し、46人が死亡自己があったり、1795年彦山、烽火山、その他の山から泥水が噴出し、市中が大水害となったりという被害があったせいだと思われる。
 
また、市内の開発が進み、市内にあった神社が、本河内に移されたこともある。
 
さらにこの辺りには、吼牛山(もうしやま)伝説というのがある。
 
本河内に、人間の子どもの様なやさしい顔に黒牛の体を持っており、鳴き声も牛にそっくりの化け物がいるという話である。http://hukumusume.com/douwa/pc/kaidan/03/17.htm
 
 
いずれにしても、様々な話が寄り集まり、神秘的な土地となったのだろう。
 

大明神

白髭大明神だが、大明神は明神の丁寧な言い方である。
 
明神(みょうじん)は、日本の神仏習合における仏教的な神の称号の一つである。
本来、神道と仏教とは違う宗教なのだが、日本では古来より、合体して信仰されていた。
 
本来は神様なのだが、仏教の言葉で、神道の神様を「明神」と呼んでいる。
 
稲荷大明神という呼び方はよくある。
 
この白髭大明神も、稲荷神社のように赤い鳥居がたくさん建てられている。まあ、よくある形式だ。
 

白髭大明神

白髭大明神

細い階段を上り、お堂の中をのぞくと、中央には普通の不動明王が祀られており、左右にお稲荷さんだ。

白髭大明神

白髭大明神

白髭大明神

となればこの不動明王が白髭となる。
 
しかし、鳥居の後ろに黒い不動明王が祀られている。
 
黒い不動明王といえば、大黒天だ。日蓮宗の守護神でもある。
 
本来、大黒天はヒンドゥー教のシヴァ神の異名であり、これが仏教に取り入れられたものだ。
 
あの七福神の大黒様とは違う、怖くて強い密教の仏様である。
 
日本には密教の伝来とともに伝わり、天部と言われる仏教の守護神達の一人で、軍神・戦闘神、富貴爵禄の神とされた。
 
となればこの白髭大明神は密教とかかわりがあると思える。
 
白鬚神社の祭神は本来、猿田彦命(さるたひこのみこと)である。猿田彦の容姿が異様で、天狗と同一視されることが多い。
 
天狗は修験道の山伏と同じと思っていい。
 
以上の事を総合すると、複数の祠があるので、民間信仰のたまり場だったという事になるだろう。
 
大きな神社のように、祭神がはっきりしていて、その由緒もしっかりしているのとは違い、小さな祠は、祀られているのが弘法大師だったり、稲荷や仁王が同居しているものが圧倒的に多い。

白髭大明神

白髭大明神

これは、日本人の信仰が、宗旨にあまりこだわらない事を示している。
 
小さな古い祠だが、推測すれば、この地域にだれが住んでいたのかが、想像できるものである。