飯盛町川下 金比羅神社 弘法大師を祀る
場所は長崎県諫早市飯盛町川下。結の浜から川下地区へ行くと、墓地がありその墓地の中を進むと、金比羅神社の一の鳥居に出会う。
道沿いからは鳥居は見えないし、初見の人はまずわからないだろう。
参道になっている山道をかなり登ると、木々の中に神殿がやっと見えてくる。
小さな社殿で古さが目立つ。
忘れられている神社かと思ったが、ネットでは年に一度金比羅祭をやっていて、大量の「桃まんじゅう」が供えられるそうである。
金比羅神社
金毘羅神社は至るところにある。
だいたい、山の上の海が見える場所にあり、漁に出る船を見守るとされている。
金毘羅とはインドのワニの神クンピーラが大本とされていて、四国の香川県仲多度郡琴平町の金毘羅宮を本拠地としている。
航海の神、海の神として信仰を集め、本来は仏様のグループが神様と一体化して金毘羅権現(日本の神々が仏や菩薩が仮の姿で現れたものとする)として全国に広まっている。
長崎でも漁港には恵比寿様、山の上には金毘羅様というパターンが一般的だ。
拝殿の中を見れば、奥に石の祠が祀られていて、その中を見れば石の掘られた坊さんの姿が見える。
おそらく弘法大師だと思われる。
うーん。金毘羅宮なのに弘法大師か。
なにか経緯があるのかもとおもう。
諫江八十八ヶ所霊場
飯盛には諫江八十八ヶ所霊場というのがある。
諫江八十八ヶ所霊場とは、今から230年ほど前、江戸後期の文政年間に諫早領主の菩提を弔い、子孫繁栄を祈って、四国八十八ヶ所霊場に習い、現在の諫早市を中心に、大村湾、諫早湾、橘湾の三つの入り江に囲まれた旧諫早領内に八十八か所の霊場を定めたものです。
だが、佐賀藩直轄地だった真崎、貝津、小船越、栄田、永昌、西長田、小川、有喜などには、祀られていない。
この地域には「川下の弘法さん」という祠がある。
金比羅神社に祀られている祠も、諫江八十八ヶ所霊場に影響されて作られた、弘法大師像を引き入れたのではないかと思う。
中心部から離れた山間部では、神道仏教の境目はなく、祀られている神様も適当なものが多い。
適当なものという言葉は語弊があるが、尊いものは皆同じという、おおらかな信仰が底辺にあるような気がする。
このゆるさが信仰の原点だと思う。