諌早 海津見神社 古代海人族の祖神
〒854-0037 長崎県諫早市川内町638
諫早の中心街から半造川を渡った田んぼの中にある。
参拝したのが秋だったので、回りが稲穂の実る田んぼばかりで、とてもきれいな風景の中にポツンとある感じだった。
建物は神社というより、お寺に近いような雰囲気。
祭神は海津見(わたつみ)神。底津綿津見、中津綿津見、上津綿津見の3神の総称とある。
この神様はイザナギが黄泉国から帰ってきて禊を行った時に生まれたとある。
この時住吉三神(住吉大神)も一緒に生まれている。ともに海の神様だ。
海津見(わたつみ)神も住吉神もともに、三兄弟。
日本古代には、天皇家以外に勢力のあった一族が存在していたとされる。大和朝廷は、成立の際日本の複数の一族を仲間に引き込んだのだろう。
海津見
海津見(わたつみ)神は阿曇連(阿曇(あづみ)氏)の祖神と言われていて、古代日本を代表する海人族だ。
海津見とは海神とも書き、海そのものを指す言葉である。
古い映画だが「きけ わだつみのこえ」というのがあった。第二次世界大戦末期に戦没した日本の学徒兵の遺書を集めた遺稿集である。
この作品のタイトルから思えば、日本国土に接している大自然の海の声を聞けと言うことで、戦争の是非を問いかけているかと思われる。
長崎だったら、対馬の和多都美(わたつみ)神社が有名だ。文字は違うが同じ神様である。
田んぼのど真ん中に現在あるが、これは干拓で農地が新設された結果で、干拓以前はこの地域まで海が来ていた証でもある。
また興味を引くのは、この神社の近くの地域である小野に、宗像神社があることだ。
宗像神もまた3人の神様の総称で、こちらは福岡の宗像市が始まり。綿津見神社も、総本社は福岡県の志賀島の志賀海神社である。
ともに福岡の有名な神社で、その神社たちが諫早の小野地区にあるというのが不思議といえば不思議なのだ。
まあ、小野地区は奈良、平安時代、脚光を浴びていたとされる古文書もあり、このあたりは重要な地域だと思っている。
そんな古代史を背負っている神社である。