魅力的な偽書たち

日本の古代の歴史を調べていくと、とんでもない説にぶち当たる。  

その一つが『東日流外三郡誌』(つがるそとさんぐんし)という奴である。

東日流外三郡誌

偽書「東日流外三郡誌」の正体 http://sanpomichi114.web.fc2.com/tugarusotosangunshi.html

下の写真も上記のページから引用させて頂きました。

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小説にも登場したりしていて、実に紛らわしい。

学界では偽作説が確実視されている。

1.『東日流外三郡誌』は、青森県五所川原市在住の和田喜八郎が、自宅を改築中に「天井裏から落ちてきた」古文書として1970年代に登場した。

2.数百冊にのぼるとされるその膨大な文書は、古代の津軽地方には大和朝廷から弾圧された民族の文明が栄えていたと主張する。

3.アラハバキを「荒羽吐」または「荒覇吐」と書き、遮光器土偶の絵を載せ、アラハバキのビジュアルイメージは遮光器土偶であると主張する。

遮光器土偶  

それ以上は、ネットで調べて下さい。

そして偽書であるという評価がほぼ定着した現在も、真作説を主張する論者、および真作説に好意的な論者がいる。

『東日流外三郡誌』を本物だと主張してきた学者 ・古田武彦氏(昭和薬科大学教授) ・西村俊一氏(日本教育学界会長、東京学芸大学教授) ・武光誠氏(明治学院大学教授) ・新野直吉氏(秋田大学学長)

 

古田武彦氏と西村俊一氏は、現在でも本物だと言って譲らない。

http://matome.naver.jp/odai/2136702011975465501

社会に与えた影響 1980年代後半から1990年代にかけてテレビで何度も、現地取材なども行われた特番が組まれ、熱烈な信奉者であった岡本太郎などが登場し、一般社会に大きく認知されるにいたった。

安倍晋太郎も先祖の墓があるという中山山脈に和田喜八郎が「再建」した荒吐族の聖地を訪ね、その模様が地元のテレビでも放映されるなど、一種のお祭り状態が続いた。

 

実は私も、日本の秘話として、上記の作家の人達の本をしっかり読み込んでいた時期があった。

次から次へ出てくる、奇抜な説に、心が踊った記憶がある。    

もう一つ有名な偽書がある。

竹内文書(たけうちもんじょ、たけのうちもんじょ、磯原文書、天津教文書ともいう)

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竹内文書

  一般には研究家らからは偽書とされている。  

 

平群真鳥の子孫であるとされる竹内家に、養子に入ったと自称する竹内巨麿(たけうちきよまろ/たけのうちきよまろ)が、1928年(昭和3年)3月29日に文書の存在を公開した。

竹内巨麿

竹内巨麿

写本の多くは焼失し失われているが、南朝系の古文献を再編したとされる写本もある。

竹内文書では神武天皇からはじまる現在の皇朝を「神倭朝(かむやまとちょう)」と呼び、これ以前に「上古25代」(または「皇統25代」)とそれに続く「不合朝(あえずちょう)73代」(73代目は神武天皇のことである)があり、さらにそれ以前に「天神7代」があったとしている。

この文書の中に

青森県の戸来村(現在の新郷村)で発見した十来塚が「イスキリス・クリスマス」の墓すなわちキリストの墓とし、モーセの十戒は実は表十戒であり、裏十戒・真十戒を含む原文の記された石を天津教の神宝として天津教が所有し、天皇が、来日したモーセに授け、モーセの墓が石川県の宝達志水町に存在している。

モーゼの墓伝説

モーゼの墓伝説

釈迦をはじめ世界の大宗教教祖はすべて来日し、天皇に仕えたことになっている。

富山県の立山町にはUFOの目撃者が異常に多い尖山(とがりやま、とんがりやま)という古代日本のピラミッドが存在する(標高559m)。

青森県戸来村のキリストの墓

青森県戸来村のキリストの墓

 

竹内文書には宇宙船が出てきたり、『旧約聖書』関連が出てきたりしている。

ネットで古代史を調べると、キリスト、ユダヤ、ヘブライ、旧約聖書がよく出てくるのは「竹内文書」が原因である。  

東日流外三郡誌の場合、東北の古代史がドラマチックに書かれているという。

不明だったり、謎だったりしていることが、ずばりと書かれていて 「なるほど」「やっぱり」という声が聞こえてきそうである。

 

東日流外三郡誌の場合、遮光器土器がアラハバキというイメージを打ち出している。

アラハバキは日本の神として存在する。 そこが紛らわしい。

古代文書に載る「荒覇吐神(アラハバキ)の図」

古代文書に載る「荒覇吐神(アラハバキ)の図」

 

東日流外三郡誌の場合、神の名ではなく民族の名としてのアラハバキという大和朝廷と闘った一族となっている。

遮光器土器じたい謎である。

あの遮光土器が、大和と闘う勇者のシンボルなんて話しは、SFみたいで面白い。

 

みんなそこにとりつかれたのかも知れない。    

色んな説があっても良いと思う。

だが、それを本物の古文書風に仕立て上げたのは始末が悪い。    

今回は引用だらけだが、ずっと気になっていた。

自戒を込めてこの文章を書いた。

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