血液型を考える
血液型の性格占いは根強い。
血液型の話で、女子グループが盛り上がっている声がいやおうなしに耳に入って来る時がある。
僕はB型なので、よく指をさされていじられる事が多い。
「やっぱりねー」
なにがやっぱりなのかわからないが、実に失礼である。
実は30歳まで自分の血液型をAB型だと信じ込んでいた。
周りにもそう話していた。
その時も、女子から「やっぱりねー」と言われていた。
やはり失礼である。
血液型の話はタブー
血液型の話は、教養人の間ではタブーとされている感じがある。
血液型の話を持ち出すと、しゃべり終わる前に、さまざまな教育的指導が突っ込まれる。
「そもそも血液型で性格なんてわかるわけはないじゃないか」
「血液型に関心があるのは日本と台湾だけだよ」
「あたってると感じるのはバーナム効果というんだよ」
「あたってると感じるのはアナウンス効果というんだよ」
「血液型で性格が決まるなんて医学的根拠も科学的根拠もないんだよ」
僕もそうだと思う。
だけど、体の体液に型が存在する理由の謎は、明らかにされていないのも事実である。
占いはパスだが、生物の進化の過程での血液型の仕組みに興味がある。
血液型と性格は医学的に関係がある
東京医科歯科大学医学部名誉教授で人間総合科学大学教授の藤田紘一郎氏は、著書の『血液型の科学』(祥伝社)の中で、「血液型と性格は医学的に関係がある」と述べています。その理由として、次のように説明しています。
(1)血液型によって免疫力が異なる
(2)血液型ごとにかかりやすい病気とかかりにくい病気がある
(3)その結果、仕事の役割や生活スタイルが形づくられたA型は免疫力が弱い
免疫力が最も強いO型
B型も免疫力が強いためO型と似ているが、肺炎やサルモネラ菌に弱い
AB型はA型以上に免疫力が弱い
biz-journal.jp ヘルス・ライフ
http://biz-journal.jp/2015/07/post_10803_2.html
こういう文章を見かけると、まったく無視するのも気が引ける。
血液型性格判断の負の歴史
しかし、過去の歴史を知る必要もある。
ご存知の方も多いと思うが、血液型を優生学と捉えて人種差別を断行したナチスドイツのヒトラーがいる。
ドイツ人にはA型が多い(ヒトラー自身もA型)という傾向があった。
ヒトラーはこの事実もユダヤ人排斥の根拠にした。A型はB型より優れている=劣っているB型のユダヤ人は排斥されるべき、という結論を導き出した。
血液型は、人種差別に使われやすい。
白人が有色人種を差別するために使い、陸軍が兵隊の能力差別として使い、警察が犯罪者の差別として使い、学校が生徒の能力差別に使った歴史がある。
こういう経緯があるからこそ、血液型と性格を結びつけるのには抵抗がある。
医学と心理学が結びついて生まれた「血液型による性格判断」は
強力なマインドコントロールに変質しやすいのだ。
その事を踏まえたうえで、血液型の話をしようと思う。
血液型の分布
人類が誕生した時点ですでに持っていた血液型は、人類の拡散でその分布に差が出てくる。
ABO式血液型の分布は母集団(地域や人種)によって差が大きく、例えばアメリカ大陸の先住民族であるインディアン及びインディオは特にO型比率が高く、部族によっては100%を記録していた。
また、世界的にはA型はヨーロッパ、B型はアジア、O型はアフリカに高い分布を示している。ウィキペディア
★世界の血液型とその分布を知ろう!
http://amor1029.exblog.jp/1594320/
驚くのが中南米で、ほぼO型である。一説によるとマラリアに強い血液型はO型だからというのと、古代の人間移動の偏りの痕跡のせいとも言われている。
AOB型以外の体液をもふくめて詳しく分析されると、真実が解明されるだろう。
日本の血液型による分布
日本といえばA型が多い傾向があるが、バランスは保っているといわれている。
アジアの端っこにある島国なのに、偏りがないという事は、バランスよく日本に人が流れ込んだ証になると思う。
免疫が弱いとされるA型が多いという事は、国の血液型分布を変えるほどの病気の蔓延がなかったという事だとおもう。
さらにヨーロッパに多いA型が主流となれば、東アジアの影響が少なかったという推論にもつながる。
みんなが気にしている朝鮮半島と日本を比べれば、若干の特徴はあるが似たり寄ったりだという気がする。
朝鮮半島には古代、倭人が住んでいたという持論を持つ僕とすれば、当然だと思う。
それよりも、稲作を伝えた中国の長江付近と日本との血液型の比率が違うのは、極端な移住がなかった証拠と思える。
都道府県別の血液型分布
都道府県別の血液型分布
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7308.html
日本人の血液型の分布をみると、
A型因子が九州の北部、鳥取・島根から四国の愛媛・高知などに濃厚にみられ、東北に向かにつれてだんだんと減少していく
これと反対にB型因子は東北、北陸、中部地方などに多く、西方にゆくにしたがって少なくなっていゆく
O型因子は九州南部、太平洋沿岸の県に多い
この調査は戦後の大規模な人口移動以前の日本人の血液型地域分布である。
このページにある分析には共感できないが、地域差があるのは面白い。
日本における伝染病の発生や、県民の移動がある程度推理されそうだ。
特に沖縄、青森のO型の多さとA型の少なさは、縄文人の分布の結果を示唆していておもしろい。
更なる血液型の研究を期待したい。