古代天皇の平均在位年10年説 安本史観(1)

この文は安本美典(やすもと びてん)氏の『倭王卑弥呼と天照大御神伝承』 勉誠出版 2003年の内容を基に書いている。

倭王卑弥呼と天照大御神伝承

安本美典氏について

(1934年2月13日 - )は、日本の心理学者・日本史研究家(古代史)。文章心理学、計量比較言語学。日本古代史の分野で著書及び論文がある。日本行動計量学会会員。

日本古代史の分野では、30数年来「邪馬台国=甘木・朝倉説」及び「大和への東遷説」を主張し続けている。「邪馬台国の会」主宰。『季刊邪馬台国』責任編集者。古代史研究は「数理文献学」(Mathematical Philology)の手法に基づくとする。ウィキペディア

安本美典氏

 

この先生を一言でいえば、戦う学者だ。

現在日本では、津田左右吉(つだそうきち)氏の津田史観という、記紀の信ぴょう性を限定する考えが考古学の世界では主流である。

津田は記紀神話から神武天皇、欠史八代から第14代仲哀天皇とその后の神功皇后まで、つまり第15代応神天皇よりも前の天皇は系譜も含めて、史実としての資料的価値は全くないとした。ウィキペディア

津田左右吉

 

この津田史観に対して、鋭い舌鋒と、理論的内容で戦いを挑んでいるといえる。

安本美典氏は記紀の中に、現実の歴史が必ず潜んでいると言う。

この安本氏の研究の中に、古代天皇の平均在位年10年説というのがある。

年代論
地図に緯度と経度が必要なように古代史の問題を考える時には「年代」を考えることが根本的に必要であるとして、独自の年代論を展開している。

すなわち、年代論の先駆者とも言える那珂通世は天皇の平均在位年数を約30年としているが、安本はその在位年数が歴史的事実として信頼できる用明天皇から大正天皇まで平均で14.18年と考える。

またこれを4世紀ごとに区分して考えた場合、時代をさかのぼるにつれて在位年数が短くなる傾向にあり5世紀 - 8世紀では10.88年となる。西洋の王や中国の王の平均在位年数についてもほぼ同様の数字と傾向がある。

これらのことから、1世紀 - 4世紀については「天皇」の平均在位年数は9年 - 10年程度であろうとする。ウィキペディア

 

この説は、現在の考古学界や"常識人"からは完全に無視されている。

安本氏は文献史学、考古学ともに門外漢。安本氏は言語学で、ジャンルと境遇が違います。歴史学の基本的手順を全く無視をして、ひたすら自ら主張を強弁する点であり、相手にされないのは当然のことである。学会では初代の神武天皇と第2代綏靖天皇から第9代開化天皇「欠史八代」は「創作」で実在しないのが「定説」ですから、前提が間違っています。ヤフーの知恵袋より抜粋

 

まあ、これらの批判はよくある話で、門外漢、素人の文字が飛び交う。

これまでの歴史の中で、門外漢、素人の人々が発見した真実は多いのにと思うが、世間の話題や本になると、容赦なく叩き潰そうとする人の多さにも驚く。

私も門外漢の素人なので、ここはスルーしようと思う。

 

AIの回答

古代の天皇の平均在位年数は約10年説をBing (AI 搭載のWeb用コパイロット)に聞いてみると下記の回答が出た。

5~8世紀: この期間に即位した天皇の平均在位年数は約10.88年でした。
9~12世紀: この期間に即位した天皇の平均在位年数は約13.5年でした。
13~16世紀: この期間に即位した天皇の平均在位年数は約14.69年でした。
17~20世紀: この期間に即位した天皇の平均在位年数は約22年でした。
古代の天皇は、生物学的な条件や政治的な要因により、平均在位年数が変動していたことがわかります。このような歴史的な背景を考慮すると、古代の日本の天皇の在位期間は、おおよそ10年程度であったと言えるでしょう。

これは、統計の結果である。

さて問題は4世紀以降の天皇の事である。

(津田氏は記紀神話の第15代応神天皇以前の記述は嘘だと言っているので、これから先の議論は相手にされないだろうから、津田史観の人はスルーしてください。)

 

安本氏は統計の結果から、1世紀~4世紀については「天皇」の平均在位年数は9年~10年程度であろうとしている。

これらの前提で天皇の平均在位年数を用いて神武天皇の活躍の時代を推定すると280年~300年頃となり、さらに記紀では天照大神は神武天皇の5代前となっているから約50年さかのぼれば230年~250年頃となり、まさに邪馬台国と卑弥呼の時代に重なる。ウィキペディア

 

この計算が素晴らしい。

卑弥呼は247年に亡くなったと魏志倭人伝に書かれている。

これまで卑弥呼は、怪しい妖術使いのような女首長と思われていたのに、この年代の計算により、日本神話の天照大神と見事に重なったのだ。

大げさに言えばガリレオの地動説、トロイア発掘のシュリーマンなみの発想だと思う。

 

高天原政権時代

天照大神

天照大神は高天原に住んでいる。

神武天皇の前は、ウガヤフキアエズ、ホオリ、ニニギ、アメノオシホミミ、アマテラスとなる。

となれば、高天原時代の政権があるはずである。

その様子は記紀にあるはずだ。

それを見つけたいと思う。

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