日本語の脳とは何か

日本の子どもたちは、犬は「ワンワン」、マツムシは「チンチロリン」など、動物や自然の音を独特な擬声語・擬音語で表現する。

これは幼い頃から親や周囲の大人にそう教えられるためであり、日本語においては、自然界の音をまるで言葉の一部のように扱う文化が根づいている。

風の「ビュウビュウ」、雨の「シトシト」など、自然物があたかも声を持っているかのように感じられることは、日本語の大きな特徴である。

このような擬音・擬声語が日本語に豊かに存在する背景には、日本人の脳が自然音を言語脳で処理するという特性がある。

母語が決める脳のタイプ

これは心理学者・角田教授の研究で明らかになったもので、人種ではなく、どの言語を母語として育ったかによって脳の処理の仕方が異なるという。

たとえば、南米の日系人を対象にした研究では、日本語で育った人だけが日本型の脳を持ち、それ以外のポルトガル語・スペイン語で育った人はすべて西洋型の脳だった。

また、韓国系でも日本で日本語を母語として育った人は、日本型の脳を示す。

このことから、「日本人の脳」というより「日本語の脳」と呼ぶべきであり、日本語という言語が脳の機能や感性に大きな影響を与えていると考えられる。

湯川秀樹博士も、日本人が「情緒的」と言われてきたのは単なる印象ではなく、言語と脳の構造的な違いに根ざすものであり、そこから独自の発想や創造性が生まれていると語っている。

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