日ユ同祖論は消えず

日本の古代史を調べていくと、ネットで日ユ同祖論にぶつかる。

結構長く流行っていて、調べてみると、始まりは明治時代後期で、きっかけとなったのは、西洋のキリスト教宣教師たちが「日本の神道儀礼や風習が旧約聖書に似ている」と指摘したことらしい。

そして明治時代後期、「日ユ同祖論」が文献として登場する。

戦後、1970年代のベストセラー 『日本人とユダヤ人』 の出版が出版され、大ベストセラーになったのは覚えている。

私自身、20代の頃、面白くて色々読んだ時期がある。

 

つまり、若い時は日本の歴史の謎や世界の謎が面白かったのだ。

雑誌のムーの世界をこよなく愛していた時期だった。

好きだったのは、「キリストの墓」の話で、新郷村には、キリストの墓とされる「十来塚(とらいづか)」があるという話である。

日ユ同祖論以外では、義経とジンギスカンの話、ムー大陸の話、超能力の話などである。

疑似科学だと頭から非難するのも大人気なく、「まー、色んな説があるよな、しかし、もしかしてほんとかもね」、という程度で済ましていた。

成吉思汗の秘密 (角川文庫)

 

中年以降は、日本神話の話が好きになり、邪馬台国はかなり熱中している。

色々、プログに書きもしていて、現在でもユーチューブでムービーを制作しているので、僕の趣味として定着したと言える。

最近読んだ「アマテラスの暗号」という小説本も、「海部氏系図」という新しいネタがあったが、後半は、がっつり日ユ同祖論だった。

神社の構造、祇園とシオン、禊の習慣、宮中祭祀、ダビデの星、失われた10支族あたりが出てくると、もう若い時の驚きはなく、まだ昔のネタを使っているんだと、がっかりもする。

しかし、海部氏系図という不思議な系図から、饒速日やアマテラスが出てくるあたりは、新しい工夫もあると思った。

フィクションなので、何が出てきてもいいと思う。

 

 

実際、日本の神話は不思議で面白く、いまだにワクワクするものがある。

竹内文書、東日流外三郡誌などは、歴史学者も巻き込んでの騒動で、そこに邪馬台国や三内丸山、縄文の土偶が登場するので、始末が悪い。

戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌」

中央・地方の有力豪族の系図は他にもあるが、海部氏系図は国宝になっているので、別格でもある。

まあ、神話の部分は、神話なので鵜呑みにはできないが、大和の成り立ちにも関わっているので、かなり研究されているようだ。

日本に存在していた、地方豪族たちの言い伝えは、それなりに価値があると思っている。

そして、神話の部分も、ただの作り話で片付けるのは早計だと思う。

その物語を作った人たちの背景があるからである。

海部氏系図は籠神社(京都府宮津市)を代々守ってきた宮司家、海部氏に伝わる系図で、宮司家の存在価値を広く知らしめる形になっている。

つまり天皇家が、日本を統治する理由などを、日本書紀や古事記に書かしている事と同じ背景なのだ。

AIに言わせると、

日ユ同祖論を支持する人々は、日本の神社の祭祀(例:祇園祭の山鉾、掛け声)、神道とユダヤ教の儀式の類似、日本語とヘブライ語の音の類似など、具体的な「証拠」を多数提示します。

これらの類似点は、学術的には偶然の一致や文化接触によるものとして説明されますが、支持者にとっては「公式には隠された真実」として説得力を持ちます。

という。

確かに、天皇家の話は、タブーでもあり、謎の多いものである。

偽史や陰謀論の文脈で語られることが多いため、「公式の学界が否定するのは、何か隠された真実があるからではないか」という疑念や反骨心を抱かせる心理的な効果があります。

これらの要因により、日ユ同祖論は、「学問」ではなく「エンターテイメント」や「個人的な信念」として、現在も人気を集め続けていると言えます。

 

なるほど。

個人的な信念と切り捨てられるのも、少しかわいそうな気がするが、結論が出ない話なので、しょうがないだろう。

日ユ同祖論を代表選手として、義経や卑弥呼、天照、大和朝廷の話は、色んな人たちにバトンを渡しながら、生き続けていくんだろう。

まー、それも面白いと思う。

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