ワニに関しての覚書ノート(2) ワニとインドネシアの伝説

因幡の白うさぎのワニは、やはりワニのような気がする。

日本にワニがいないのでサメだという論法はおかしい。この話は神話である。

大国主だって、話すうさぎだって、並んだワニだって架空の存在である。

そこを忘れてもらっては困る。

大国主

まず大国主の話そのものが、不思議だらけだ。

大国主の話をざっとまとめてみる。

○大国主神(おおくにぬしのかみ)国津神の代表的な神。
○『古事記』『日本書紀』の異伝や『新撰姓氏録』では須佐之男命(すさのおのみこと)の六世の孫。『日本書紀』正伝によると素戔鳴尊(すさのおのみこと)の息子。
○少彦名命とともに日本国を創った神。
○兄たちに二度殺され、母のおかげで二度生き返った。

こんな感じである。

物語としては、国造りからのスタートで、スクナビコナと協力して天下を経営し、禁厭(まじない)、医薬などの道を教え、大物主神を祀ることによって葦原中国の国作りを完成させる。ここで相棒のスクナビコナが出てくる。

少彦名命

少彦名命は、つまり造化三神の子供で、なんと神々の最上位にいる神様の子である。この超小型の神様は突然やってきて大小の凸凹コンビがバディが人間社会の国を作ったという事だ。この話は、天孫降臨のずっと前の話である。とても示唆することが多い、深い話だと思う。

不思議だ。いや不思議すぎる。

いったい大国主とはどんなポジションに居る人物なんだろうか。

評論では、英雄の数奇な運命を克服した神などと書かれている。最終的には父スサノウのあとを継ぐのだが、国譲りによって大和に出雲を手渡し、その引き換えに幽冥界の王になってしまう。

何を言いたいのか、私には良くわからない。

それだけ優秀な人物なら、大和に招き、出雲ともども発展すればいいと思うのだが、現実はどうも違うようだ。結局天孫族が武力で出雲を奪い取ってしまう。

この話はボリュームが有りすぎるので、今回はスルーしたい。

問題はワニかサメかという事に絞りたい。

大国主の父スサノウも破天荒な人生である。底に共通点があるのだろうか。

ふと、ヨーロッパのギリシャ神話に雰囲気が似ていると思った。細かな類似点ではなく、先の展開が突飛で、日本風の神話じゃないのかなとさえ考えた。

いや、何も確証はない。何となくそう思ったのだ。

もしそうなら、因幡の白兎の皮を剥いだのは、日本の説話ではなくワニの住んでいた地域の神話で、古事記が取り上げたのかもしれない。

世界の類話

ウィキペディアには、世界中に因幡の白うさぎと似ている神話を紹介している。

シベリア少数民族の民話 島から戻る話
アオサギによって孤島に運ばれてたキツネがアザラシに頭数を数えると言って一列に並ばせ、背を渡って戻る場面がある。キツネは渡った先で猟師の獲物となり、毛皮をはがされる。

インドネシア 小鹿の例
インドネシアに因幡の白兎と類型する話が見られるが、ウサギではなく、小鹿とされる。洪水のために川を渡れなくなった鼠鹿が鰐を騙して集め、背を踏み歩いて渡り、愚かな鰐をあざける。

アフリカ ウサギの尻尾が短い理由を説明する話
アフリカの民話では、湖を迂回するのを億劫がったウサギが親類の数を誇るワニを挑発し、その自慢が本当か数えると騙して渡るが、ワニに尻尾を食いちぎられてしまい、そのために現在のウサギの尻尾は短いと説明されている。

読むと因幡の白ウザギの話にそっくりなものが多い。

前記にギリシャ神話に雰囲気が似ていると書いたが、現実に似ている箇所が多いのだ。

ギリシャ神話と日本神話。神を柱と呼ぶ理由
https://artworks-inter.net/ebook/?p=3287

邪馬台国の古田武彦氏は「盗まれた神話」で大和の神話について深く追求している。

これらは無視できない内容を秘めている。

日本神話のもとになっている古事記は、天武天皇の命で稗田阿礼が「誦習」、太安万侶が書き記し、編纂したものである。

誦習(しょうしゅう)とは、書物などを口に出して繰り返し読むことである。

この稗田阿礼。若干28歳ながら、超記憶の天才だと書かれている。だがその素性は謎とされている。

稗田という姓だが存在しなかったという研究もある。

となれば、天才青年阿礼とは何者なんだろうか。

阿礼、カタカナだとアレイ。

調べてみれば、アレー - ブラジルのサッカー選手アレシャンドロ・ルイス・フェルナンデスの愛称。
アルフォンス・アレー - フランスの作家。モーリス・アレー - フランスの経済学者。カースティ・アレイ - アメリカ合衆国の女優。等

結構外人名にある音でもある。

気になったのがアレイオーン。

アレイオーンは、ギリシア神話に登場する名馬の名である。別名アリーオーンとも言う。 日本語では長母音を省略してアレイオン、アリオンとも表記される。 海神ポセイドーンと女神デーメーテールがたがいに馬の姿で交わって生まれた子供である。

アントワーヌ=フランソワ・カレの1777年の絵画『ゼウスに抗議するデーメーテール』

なるほど。ギリシャ神話が出てくると、この名馬と稗田阿礼を強引に結びつけたくなるが、真実ではないだろう。

何が言いたいかといえば、阿礼はなぞの青年だということである。

話が思わぬ方向へ脱線したが、日本神話が様々な逸話を集めたのだけは真実のようだ。

それなら、ワニがいたという話が日本に残っているだろうか。

古事記

 

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