鳥居に関しての覚書ノート(2) 起源について

鳥居の起源についてのノートの続きである。

神社本庁のHPには、天照大御神が天の岩屋に隠れた際に、八百万の神々が鶏を鳴せたが、このとき鶏が止まった木を鳥居の起源とする説や、外国からの渡来説があると書かれている。 写真はウィキペディアより

インド仏寺のトーラナ

中国の牌楼

アカ族の村のロコーン(上に木彫りの鳥が載せられている)

 

これが一般的な回答である。

ウィキペディアには鳥居を立てる風習は、神社の建物がつくられるようになる前から存在したとある。

これは重要である。

考古学的起源についてはっきりしたことは分かっていないが、単に木と木を縄で結んだものが鳥居の起こりであると考えられるともある。

また、確かに鳥居は単純な構造なので、正確な由来についての証明は不可能と思う。

殆どのホームページの解説は、ウィキペディアからのコピーばかりで、ネットからは新しい情報は無理かもしれないと思う。

記紀

古事記や日本書紀の内容から手がかりを探すのだが、注意しなければいけないのは、記紀が編纂されたのは、古事記が712年、日本書紀は720年である事だ。

この時すでに仏教は日本に存在していたので、純粋な古神道の様子は書かれていないと思われる。

古事記の神話はやはりフィクションで、これは世界中どこも同じである。

ただ、どこかに現実が紛れ込んでいたりしているかもしれないので、詳しく読む必要がある。

一つ未だに気になっている箇所がある。

それは天孫降臨から神武天皇までの系譜である。

邇邇杵尊が高天原から降りてくるのだが、地上に着いて、木花咲耶媛を嫁にした時から寿命がある事になっている。

つまり、神から人間になったのだ。

そしてその子供は、古事記では3人である。

天火明命(尾張氏)、火折尊(山彦)、 火須勢理命(海彦、隼人)という。

火折尊(山彦)が神武天皇につながる。

火折尊(山彦)の子供が鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)だ。

鵜戸神宮(うどじんぐう)

鵜戸神宮 撮影アートワークス

鵜戸神宮 撮影アートワークス

宮崎に行った際、鵜戸神宮を訪れた。

断崖の中腹の岩窟の中に本殿があり、参拝するために崖を下る。

崖下を見れば奇岩怪礁であり、現在はしっかりとした観光地になっている。

最初から生粋の神道の神社かなと思ったが、修験道の一大道場として「西の高野」とも呼ばれる両部神道(りょうぶしんとう)の霊地として栄えたとある。

両部神道は仏教の真言宗(密教)の立場からなされた神道解釈に基づく神仏習合思想の神道である。

まあ、鵜葺草葺不合命が神話の中の存在なので、神仏習合に関しては何も意見はない。

鵜葺草葺不合命の名前の由来だが、屋根を作らないうちに生まれたからという事だけで、業績は何もなく系譜上のみの存在である。

実に不思議だと思う。

この神様の存在理由はなんだろうかと考えた。

まあ神話なので、意味などないのかもしれないが、ここは深読みをしたい。

鳥居の話に戻るが、文献に徴すれば古くは「於不葦御門(うへふかずのみかど)」(皇太神宮儀式帳)と称して、奈良時代から神社建築の門の一種としているとある。ウィキペディア

鵜葺草葺不合命と於不葦御門(うへふかずのみかど)

つまり、屋根の無い門イコール鳥居というわけである。

神話では鵜葺草葺不合命が誕生した産屋は全て鵜(う)の羽を草(かや)としてふいたとある。

ここで、鳥居の名前の由来が垣間見える。

この話を拡大すれば、鳥居の鳥とは鵜(う)の事となるのだ。

鵜(う)は現在では一般的ではないが、日本では、5~6世紀に築造されたとされる群馬県の保渡田八幡塚古墳から、頸に紐を巻きつけ嘴には魚をくわえた形状で鵜飼の様子を表現した「鵜形埴輪」が出土している。ウィキペディア

鵜形埴輪 山梨県立博物館

しかし、ここで思考が止まる。

神道の象徴である鳥居の鳥が鵜というのは、すんなりと飲み込めないのだ。

まあ屁理屈をこねれば、神武のお父さんに当たるわけで、日本の古代神道が祖先崇拝ということを考えれば、初代天皇は鵜葺草葺不合命以降の祖先を祀るということになる。

鳥居が神域を分ける結界というなら、人間は鳥居越しに神域を入る事になる。

つまり、鵜葺草葺不合命は祖先崇拝の入り口に当たるのである。

うーん。

どうだろうか。強引すぎるような気もするのだが、とりあえず理屈はつながるのだ。

ただ、於不葦御門(うへふかずのみかど)という建築様式が先にあって、古事記が後付なのかもしれないし・・・。

鵜葺草葺不合命の不思議さを考えながら、鳥居の由来を更に考えることにした。

 


鳥居に関しての覚書ノート(1)

鳥居に関しての覚書ノート(2) 起源について

鳥居に関しての覚書ノート(3) 三本柱鳥居とパンドラについて

鳥居に関しての覚書ノート(4) 倭族トラジャと遺伝子Dグループについて

鳥居に関しての覚書ノート(5) 神社の元型は立柱

鳥居に関しての覚書ノート(6) 結論 鳥居は神の依代

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